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【102-10】伊達副操縦士と羽柴管制官 番外編2

もうすぐ征士さんのお誕生日です。
ラブラブでお祝いしようと考えてたはずなんだけど、
実際ラブラブなんだけど、
征士さん出て来なかった。
すみません。


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**********

「あら。来たんだ。ご苦労さま〜」

「『来たんだ』って。お前が呼んだんだろうが」

「そりゃそうだけど。さては聞いた? 伊達征士から」

「何を」

「会ったって話。ほら、会社の。全国懇親会で」

「誰と」

「あたしと」

「…………誰が」

「伊達征士」

「聞いてない……。懇親会って、パイロットだけじゃなかったのか。お前と会ったなんて、征士からは一言も聞いてないぞ」

「へぇ〜。そうなんだ。でも安心して。当麻とあたしがここで毎月密会していることは、伊達征士には話さなかったから」

「人聞きの悪い。今日が二回めだろ」

「そうだっけ。でも話してなかったんでしょ。あたしが当麻と会ったこと」

「うん。まあ」

「だと思った。また貸しができたわね〜」

「何が」

「当麻が言わないのに、先にあたしが伝えちゃったら、後始末が大変だったんじゃない?」

「まぁ……確かに、助かった、かもな」

「ちゃんとこまめに話しておいた方がいいと思うよ、彼氏には。こうして何度も会ってると、どんどんどんどん言い出しにくくなって、悪いことなーんにもしてないのに、バレたらギクシャクするわよぉ〜」

「そのうちな」

「あ。彼氏否定しない」

「まぁ、アレは彼女じゃないからな……。ところで、征士と何を話したんだ?わざわざ話しかけたのか」

「気になるの?」

「そりゃ、少しは」

「向こうから声かけてきたのよ」

「え」

「私はね、アレが噂の伊達征士だって、そりゃすぐにわかったわよ。でもこっちから何も言わないのに、伊達征士から近寄って来て初対面でいきなり名前呼ばれたの、心臓が止まるかと思ったわ」

「名前を?お前の?」

「そうよ。後から全国のCAに、伊達征士とどんな関係なのかって取り囲まれて困ったんだから」

「説明……したのか?」

「さすがにできません。友達の友達なんだって言っといたわ」

「それはとんだご迷惑を」

「どういたしまして。で、伊達征士ったらさ。『福岡で当麻がお世話になっていたそうで』なんて澄ました顔であたしのこと見下ろしちゃって。何だかちょっとムカついたから、『こちらこそ、こちらでは当麻がお世話になっているそうで』って言っておいた」

「アホだろ、お前。それにしても征士のやつ、どうしてお前のことわかったんだろうな」

「当麻が教えたんじゃないの?写真か何か見せたんだろうって。ほんとバカだなって思ってたのに」

「見せるか。前の彼女の話なんか、そうそうしないだろ、普通は」

「そうだろうけど、当麻も伊達征士も、いろいろと普通じゃないでしょ」

「まぁ、否定はできないな……」

「じゃあどうして、伊達征士はあたしのこと?」

「調べたんだな」

「え」

「そういう奴なんだよ、あいつは。そういうとこ、ちょっとおかしいから。ま、同じ会社に勤めてるんだし、俺たちが付き合ってたの、お前だって周りに隠してたワケでもないだろうし。ちょっと調べればわかるんだろう」

「当麻、愛されてるぅ……」

「そう取るか」

「そうでしょ」

「……ああっ」

「何!?」

「それだ」

「だから何?」

「何でもない」

「こら!」

「いや、ほんまに。何でもないから」

「はい出た関西弁〜。何でもなくないよね」

「…………お前キライ」

「知ってる。だから別れたんでしょ」

「あ。違う!違うぞ?嫌いじゃないからな?」

「もう〜。いいよ、わかってるから。誰も伊達征士に勝とうとは思ってないから」

「またそういうことを言う。嫌いになったんなら、呼ばれたってこんな風に会いに来ないんだからな」

「当麻。あんたそれ、ものすごーく不実でだらしない男に聞こえるよ?」

「……どう言ったらいいんだよ」

「あたしはね。はっきり言って、元カレと会ってる気はないの。どちらかというと、芸能人と結婚した女の親友に、新婚生活について根掘り葉掘り聞きたいって、そっちの気持ちだから。で? さっきの『ああっ』は何なの」

「なんなんだそれは……」

「教えるよね?」

「いや、だからな? その全国懇親会とやらの晩に、やけに酔って帰ってきたなと。あいつ、酒強いのに」

「ああ〜。私と話しながら飲んでたとき、やけにピッチ早いなと思った」

「緊張したのかな。お前が怖いから」

「嫉妬したんでしょ。あたしが美人だから」

「言うなぁ」

「そのくらい言わせてもらわないと。それで、その後、帰宅後にナニかあったのねぇ」

「ナニかって何だよ」

「それをあたしが聞いてるの」

「答える義理があるか?」

「ないって言うつもり?」

「だから!……その……。言えないようなことがあったんだよっ」

「あ!わ!もしかして?初めての!?」

「目を輝かせるんじゃない」

「輝くでしょ、そりゃ」

「ご想像にお任せします」

「想像しよう。あの夜、嫉妬に燃えた伊達征士は……」

「するなっ」

「なんなの。ではどうぞ」

「……俺、いつも途中で寝ちまって」

「それ、前回聞いたやつね」

「寝ちゃうとあいつ、諦めてたみたいなんだけど、あの日はとうとう諦めてくれなかったんだ……」

「伊達征士にも、貸しができたわけね。あたしってば」

「俺は酷い目に遭ったぞ」

「当麻はあたしにお礼を言うべきです。あたしは、当たり障りのないことしか、喋ってないからね。『この前会ったんです〜。二人っきりで♡』とか言ったら、きっともっと大変だったはずね」

「ありがとう…………って、何だか腑には落ちんがな」

「で、その指輪ってわけ」

「あ」

「今更隠しても遅いっつーの。これ見よがしに左手の薬指に……。あ。緑の石入ってる。かーわいー。伊達征士もお揃いなの?」

「色違いだけどな。あいつのは青い石で」

「色の意味は何なの?」

「秘密」

「ケチ。今日もここ、当麻の奢りね」

「大企業勤めが、しがない公務員にたかるなよな〜」

「パイロットの妻が何を言う」

「だから妻じゃないっつーの!」




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