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【102-09】伊達副操縦士と羽柴管制官 番外編1

ちょっとだけ、その後の話。
当麻の元カノです。
苦手でなければどうぞ。



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**********

「で?」

「で?……って言われても」

「伊達征士と二股をかけられた女としては、報告くらいは聞かせてもらう権利があると思うの」

「……そんなもんですか」

「そんなもんです。悪いわねぇ。昔の女のために羽田まで出てきてもらっちゃって」

「棘のある言い方だな」

「あれ? 当麻にそんな可愛くないこと言う権利ある?」

「……ないです」

「そうだよね。何て言ったって、二股かけられて捨てられたんですから? あたし。下手すりゃ慰謝料モンだよ?」

「……そんなに悲壮な感じには、一切見えんがな」

「何か言った?」

「言いませんとも」

「で、成田に転勤は、願い出たわけ?」

「そんなわけがあるか」

「ウソ!まさか偶然なの?」

「俺は福岡にいたかったんだ」

「それはどうだかねぇ。当麻ってホント、自分の本音がなんだかわかってないんだから」

「それは反論できないけど。……本当に、たまたまだからな。そんなに都合よく東京に転勤なんてできるもんじゃない」

「あの大停電で大活躍のご褒美か何かかなって想像してたんだけど」

「違うって。……どちらかというと、大停電の藪蛇。上は東京で通訳を安く上げたいって考えてるだけ」

「通訳?」

「お陰で管制以外のお仕事が山盛り。俺クラスのペーペーの仕事じゃない海外の会議にも一人で行かされたりして、正直、参ってるんだ」

「それはお気の毒。……でも上手くやってるんでしょう? 伊達征士と」

「……その伊達征士ってフルネームでいうの、やめないか」

「だって伊達征士は伊達征士だもん。有名人なんだから。どうなの? 伊達征士との同棲生活♡」

「お前さ。こんなこと俺が言うのもなんだけど、もうそうやって、俺のことは全然平気なワケ?」

「平気って、何が」

「だって、言っちゃなんだけど、好きで付き合ってたんじゃないのか」

「そりゃまぁ、好きだったけどね。でもまずホモだったってのが、もうどうしようもないし、あの伊達征士と同じ天秤にかかってたっていうんじゃ、あたしも大したもんだよねって。気になるじゃない。その後どうなったのかも」

「……そういうサバサバした、好奇心優先なとこが好きだったんだ」

「ありがと。褒め言葉に受け取っておく」

「褒めてるつもりだよ」

「で、どうなの?同棲生活一ヶ月経過してみて」

「同棲ってなぁ。……男同士なんだから、同居だろう」

「あら。愛があるのは同棲でしょ」

「ないから。ウチ、悪いけど清いから」

「え!? なんで? ないの? そういうの」

「そういうのってなあ……」

「だって! あるんでしょ?どうなのー?伊達征士。キス以上いったんでしょ? ねぇねぇ」

「だから、それ以上は、ない」

「え? ウソ!」

「嘘じゃない。本当に、ないから」

「なんで!」

「なんでって……。向いてないんだよ、俺、きっと」

「ええー? 普通にやってたじゃん。あたしと」

「そっちならいいんだよ」

「どういう意味?」

「逆はダメなんだよ。その、ほら。眠くなって」

「え?」

「え、じゃなくて。ほんと」

「まさか! 前に聞いた、あん時だけじゃなくて?」

「そう。あん時だけじゃなく」

「……当麻、サイテー」

「…………」

「伊達征士、かわいそー」

「…………仕方がないだろ。だいたい俺も、相変わらずの三交代の上に泊まりの出張も増えたし、征士は長距離行くと一週間返って来ないし。だからまだ、そんなに何回もじゃないぞ」

「すれ違い夫婦か。それで大抵、客室乗務員辞めちゃうからね。パイロットと結婚すると」

「そうだなぁ」

「辞めれば? 仕事」

「辞めるか!」

「なんだぁ、つまんないの。早くどうにかしなよね。大事だから、そういうのは」

「善処します……」

「で? 今日は何て言って出てきたの? 伊達征士に」

「何も言ってないよ。今週あいつまたマドリードだから。帰って来るの、明後日だったか」

「ふーん。夫に内緒で昔の女に会いに来たわけね」

「人聞きが悪いな。だいたい夫ってなんだ。夫って」

「だってそうなんでしょう」

「だからしてないって。もうよせ、その話題は」

「内緒じゃなきゃ、後から話すわけ?」

「話しません」

「なんで」

「わざわざ言わんだろう、そんなこと。大変なことになるぞ?」

「そうなのぉ?」

「なんでそんなに嬉しそうなんだよ」

「ヤキモチ焼くんだぁ、伊達征士♡」

「いや、マジで洒落にならんから。ちょっと気の毒なことになるからやめてあげて」

「本当に? あら、電話でもして波風立ててみようか」

「やめろって!」

「……その態度は何?」

「やめてくださいお願いしますっ」

「どうしようかなぁ……」

「ここ、奢るから。な?」

「あ。じゃあパフェ頼んじゃお。当麻も食べれば? 好きでしょう。コーヒーだけなんて、スカしてないで」

「別にスカしてるわけじゃ……。って、そんなにウキウキとパフェ食う状況じゃないだろうが」

「そう? もっと気楽にしていいのよ。また来月も呼ぶから」

「え!?」

「これは定期的に経過を聞かないとねぇ」

「マジか……」

「で、どうするの? あたしは食べるけど?」

「……俺も食べる」

「あ!すみませーん!もう一回メニューくださーい」

「なんだかなぁ……」



おわり
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