たいいくのひ
since November 22th 2012
【054】ただいま
閲覧注意です。
死にネタです。
**********
月曜日の仕事帰り。
マンションの部屋のドアのレバーを下げたら、鍵がかかっていた。
腕時計を見ると午後九時十二分。
征士はまだ、帰ってないのか。
「そうか」
俺は一言呟いて、ポケットの中の鍵の束を漁る。
鍵を開けて、中へ入る。
「ただいまー」
窮屈な革靴を脱ぎながら。
征士の返事はない。
「……そうか」
もう一度、呟いた。
金曜日の朝、征士は俺の隣で冷たくなっていた。
本当に、何の前触れもなく。
無駄だということはほとんどわかりつつも、一応救急車を呼んだ。
会社に休暇の連絡をした。
何年も連絡を絶っていた征士の実家に電話をした。
病院から俺一人で帰ってきて、警察が来て、一通り部屋を見て、俺にいくつか質問し、俺はそれに答えた。
征士は仙台の実家に引き取られて行ったらしい。
見送らなかったからわからない。
土曜日、日曜日が何もなくただ過ぎていって、月曜日の朝になったので会社に行った。
会社では誰もがいつもと変わらず笑ったり怒ったりしながら仕事をしていた。
俺もいつものように笑ったり怒ったりしながら仕事をした。
冷蔵庫を開けてビールを出しながら、
「お前も飲むか?」
と、言いかけて、やめた。
end
死にネタです。
征士×当麻で悲恋ものを創作するならお題は/①そんな目で見ないでほしい/②永遠におやすみなさい/③返事はなくても今日も「ただいま」 です http://t.co/lEc2V6zNVG
の、③でした。
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月曜日の仕事帰り。
マンションの部屋のドアのレバーを下げたら、鍵がかかっていた。
腕時計を見ると午後九時十二分。
征士はまだ、帰ってないのか。
「そうか」
俺は一言呟いて、ポケットの中の鍵の束を漁る。
鍵を開けて、中へ入る。
「ただいまー」
窮屈な革靴を脱ぎながら。
征士の返事はない。
「……そうか」
もう一度、呟いた。
金曜日の朝、征士は俺の隣で冷たくなっていた。
本当に、何の前触れもなく。
無駄だということはほとんどわかりつつも、一応救急車を呼んだ。
会社に休暇の連絡をした。
何年も連絡を絶っていた征士の実家に電話をした。
病院から俺一人で帰ってきて、警察が来て、一通り部屋を見て、俺にいくつか質問し、俺はそれに答えた。
征士は仙台の実家に引き取られて行ったらしい。
見送らなかったからわからない。
土曜日、日曜日が何もなくただ過ぎていって、月曜日の朝になったので会社に行った。
会社では誰もがいつもと変わらず笑ったり怒ったりしながら仕事をしていた。
俺もいつものように笑ったり怒ったりしながら仕事をした。
冷蔵庫を開けてビールを出しながら、
「お前も飲むか?」
と、言いかけて、やめた。
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