たいいくのひ
since November 22th 2012
タンザニア日記5
ムカ当です。
**********
九月十二日 火曜日
天気 晴れ。
今朝は起きるとムカラが待っていて、昨日と同様に俺を担ぎあげて川で洗濯し、戻ってきて俺に服を着付け、一緒にイバダの作った朝食兼昼食を食べた。
それから黙って出かけようとするので、どこに行くのかと聞くと、狩りだと言う。
ついて行ってもいいかと訊けば、危ないからダメだと言う。
癪に障るので、お前には敵わなかったが俺がお前と戦ったのを見ただろう、俺は弱くはないと訴えてみた。
ムカラはしばらく考えていたが、俺がしつこく頼んだので、一緒に出かけることになった。
森を出たところで、タリクとズベリ、ヌルの三人の若い男と合流した。
狩りと言っても、仕掛けておいた網にかかった魚を獲る作業。
いつも俺が身体を洗ったり水を汲んでくる川の下流で、罠にかかったトリという、ニジマスくらいの魚を手でつかみ、三人が持ってきた網袋に入れていく。
日本語ではトリは鳥のことだと言ったら、三人にやけにウケた。
魚掴みはコツを掴むと、どんどん捗った。
タリクが手を止めては俺のことをジロジロと見ているのが気になった。
その後、タリクはムカラに殴り飛ばされていた。
獲った魚を村に持っていくと女性たちが集まり、分けて持って帰っていった。
そのうちの一人の家について行き、干物にする作業を見せてもらった。
作業中、ムカラは腕を組んで黙ってつっ立ち、明らかに周りを威圧しているので、先に帰るように言ってみたが聞かなかった。
我が家の分のトリも一緒に干せるばかりにして持ち帰ると、アファアファがとても喜んだ。
さて、例の結婚の儀式について、記憶の残っているうちに記さなくてはならない。
皆と帰国する予定だった日、この土地を離れることに未練があった俺に、村に残ることを提案したのは、身なりを整えた若い男だった。
村の暮らしに興味はないかと聞かれたので、俺は正直に、あると答えた。
すると男はとても嬉しそうに、衣食住はこちらで用意するからというようなことを言い、俺を心配しながら帰る遼たちを見送った後、村の真ん中にある広場の片隅に建つ高床式の小屋へと、俺を案内した。
そこで出された甘いお茶に、何かが入れられていたのだと思う。
それまでの戦いの疲れもあり、俺はすっかり眠り込んでしまった。
誰かが小屋に入ってきた気配で目覚めると、辺りはもう暗くなっていて、外からは火の燃える音と、歌と太鼓が聞こえてきた。
寝起きだという以上に、頭はぼうっとしていて、身体が熱かった。
寝床から起き上がろうとすると、俺がそれまで着ていた服ではなく、この村の男が着る服に着替えさせられていることに気づいた。
俺の手を引いて立ち上がらせ、小屋の外へと導いたのは、小屋へ連れてきた男だったように思ったが、違ったかもしれない。
小屋から出ると、目の前は大きな篝火を囲んで、祭りの真っ最中だった。
俺の手を引いた男が大声を出すと、そこに居た百人以上の村の人達が、こちらを見て歓声を上げた。
アファアファとイバダが食事の支度をしている間にこれを書いていると、ムカラが覗いてきた。
何を書いているのかと聞かれたので、これは日記で、今日あったことなどを書いているのだと伝える。
書いたことを読めと言われるが、これは日本語で書いているので、俺の今の語力では訳せないのだと話すと、そうか、とあっさり諦めた。
続きはまた、明日書く。
つづく
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九月十二日 火曜日
天気 晴れ。
今朝は起きるとムカラが待っていて、昨日と同様に俺を担ぎあげて川で洗濯し、戻ってきて俺に服を着付け、一緒にイバダの作った朝食兼昼食を食べた。
それから黙って出かけようとするので、どこに行くのかと聞くと、狩りだと言う。
ついて行ってもいいかと訊けば、危ないからダメだと言う。
癪に障るので、お前には敵わなかったが俺がお前と戦ったのを見ただろう、俺は弱くはないと訴えてみた。
ムカラはしばらく考えていたが、俺がしつこく頼んだので、一緒に出かけることになった。
森を出たところで、タリクとズベリ、ヌルの三人の若い男と合流した。
狩りと言っても、仕掛けておいた網にかかった魚を獲る作業。
いつも俺が身体を洗ったり水を汲んでくる川の下流で、罠にかかったトリという、ニジマスくらいの魚を手でつかみ、三人が持ってきた網袋に入れていく。
日本語ではトリは鳥のことだと言ったら、三人にやけにウケた。
魚掴みはコツを掴むと、どんどん捗った。
タリクが手を止めては俺のことをジロジロと見ているのが気になった。
その後、タリクはムカラに殴り飛ばされていた。
獲った魚を村に持っていくと女性たちが集まり、分けて持って帰っていった。
そのうちの一人の家について行き、干物にする作業を見せてもらった。
作業中、ムカラは腕を組んで黙ってつっ立ち、明らかに周りを威圧しているので、先に帰るように言ってみたが聞かなかった。
我が家の分のトリも一緒に干せるばかりにして持ち帰ると、アファアファがとても喜んだ。
さて、例の結婚の儀式について、記憶の残っているうちに記さなくてはならない。
皆と帰国する予定だった日、この土地を離れることに未練があった俺に、村に残ることを提案したのは、身なりを整えた若い男だった。
村の暮らしに興味はないかと聞かれたので、俺は正直に、あると答えた。
すると男はとても嬉しそうに、衣食住はこちらで用意するからというようなことを言い、俺を心配しながら帰る遼たちを見送った後、村の真ん中にある広場の片隅に建つ高床式の小屋へと、俺を案内した。
そこで出された甘いお茶に、何かが入れられていたのだと思う。
それまでの戦いの疲れもあり、俺はすっかり眠り込んでしまった。
誰かが小屋に入ってきた気配で目覚めると、辺りはもう暗くなっていて、外からは火の燃える音と、歌と太鼓が聞こえてきた。
寝起きだという以上に、頭はぼうっとしていて、身体が熱かった。
寝床から起き上がろうとすると、俺がそれまで着ていた服ではなく、この村の男が着る服に着替えさせられていることに気づいた。
俺の手を引いて立ち上がらせ、小屋の外へと導いたのは、小屋へ連れてきた男だったように思ったが、違ったかもしれない。
小屋から出ると、目の前は大きな篝火を囲んで、祭りの真っ最中だった。
俺の手を引いた男が大声を出すと、そこに居た百人以上の村の人達が、こちらを見て歓声を上げた。
アファアファとイバダが食事の支度をしている間にこれを書いていると、ムカラが覗いてきた。
何を書いているのかと聞かれたので、これは日記で、今日あったことなどを書いているのだと伝える。
書いたことを読めと言われるが、これは日本語で書いているので、俺の今の語力では訳せないのだと話すと、そうか、とあっさり諦めた。
続きはまた、明日書く。
つづく
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