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【113-02】おみやげ(後)

続きです。
お道具お一人さま。
閲覧注意です。



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**********


バスタオルを腰に巻き、頭をタオルでゴシゴシ拭きながら、俺はまず缶ビールを一本一息に空けた。
空の缶をテーブルに残したまま、わざと大股で胸を張って歩き、寝室の扉を開ける。
見下ろすベッドには、今朝自分で放り込んだ黒い箱。そこまで来て俺は大きくため息をつき、ドスンとベッドに腰掛けた。

傍の小箱の蓋を片手で持ち上げる。
包まれていた内袋は破いてゴミ箱に投げ込んだ。
抱えた膝の上で、しげしげと眺める。

『私が選んだのだ』

思いがけずゴクリと喉が鳴る。
言われれば、ソレのサイズは征士のナニに非常に似ているように思われた。

「悪趣味……」

つるんと丸い先端をペロリと舐めてみた。

舌先は何の味も感じなかったが頭は確実に、先端を舌でなぞった時の征士の味を思い出す。
首筋から背中にかけゾクリと官能が走り、身体の中心に血液がドクドクと集まる。
でも驚いたことに、そこに触れるよりも俺は、さっきまであんなに疎ましく思っていたコレを、身体の中に「欲しい」と感じていた。

一瞬、してやったりな征士の顔が浮かぶ。
あの時すぐに征士がコレを使いたがらなかったのは、こうなることを見越してのことなのかもしれない。
もしかすると件の先輩とやらが、征士にそんなアホな入れ知恵をしたのかもしれん。
そう考えると気持ちのいいものではないが、そこまでするなら乗ってやる。

ベッドサイドにある馴染みのボトルを手に取ると、とろりと冷たい中身を丸い先端からいくつかのくびれを経て根元まで垂らした。
ドアの向こうから漏れてくる明かりに、これから俺を楽しませてくれるはずの露骨で淫猥な物体がテラテラと光っている。
ボトルを置いて、手のひらでそれを軽く馴染ませる。

握るとしっかり硬いのに、不思議とどこか柔らかな手応えが、また征士を思わせる。
左手でその感触を確かめながら、右の指先を、それを待ち望む部分に這わせる。
好奇心と情欲とで昂ぶるそこは幾分ほころんでいるようだ。
しかしここを自分で慰めようなどと考えたのも実行するのも実際、初めてなのだ。

もう一度潤滑液を馴染ませ、少しだけ指を挿し入れてみる。途端、睦ごとの戯れに、征士に手を取られ入れさせられた興奮と羞恥が蘇る。
一人で抜くときは色んな女の世話になるのに、ここでどうこうしようと思えば、浮かぶのは征士なんだと早くも思い知る。
今ここにいなくても、あの声が耳をくすぐる。

人差し指と中指とを思い切って入れ込んでいくと、中は想像していたよりはるかに狭くてキツい。拡げるように動かせば、声にならない息が漏れ出る。
竿はもうしっかりおっ勃っていて、左手のブツと一緒に握り込めば、ヌルリとした冷たさにビクリと震えた。

「ザマぁないな」

まだイくわけにはいかない。

征士がいるよりよほど征士を感じる。
ここでこう動かして……そう、征士は。
ここには触れずに指を増やす。
早過ぎればまた元に戻して、同じ道程をもう一度辿る。焦れったいのに気持ちいい。

もういいんじゃないか。

声を上げたくなるすぐ直前で、征士は俺の思うようにしてくれる。
そろそろ準備は整った。

改めてブツを眺めてから、その先端を入口へと充てがう。
征士のモノとは明らかに違うひやりとした感触に、十分に解されたはずのそこに、緊張が走るのがわかる。

「ビビってるのかぁ?」

わざと口に出すのは、認めたくはない恐怖心へのささやかな抵抗だろう。
払いのけるように、力を込めて押し込んだ。

「……っ!」

二つ目のくびれまで一気に。
征士のものとは明らかに違う異物感に息が詰まる。
もう一つ。
俺の中の狭いところを擦って進むグロテスクな形を感じて、背筋を何かが駆け上がっていく。
一度すっかり息を吐き、また慎重に吸い込んでから、残りの二つをねじ込む。
これだけで息が上がっている。

)初めて征士とヤッた時の、余裕のないハライッパイを思い出す。
動かしたい衝動と、何が来るのかわからない怖さと興味とがせめぎ合う。
最後に勝るのはやはり好奇心で、股座に伸ばした腕に力を込めて、ゆっくりとブツを引き抜いていく。

「んん……っ」

息と一緒に声が漏れる。
まずは最初のくびれまで。

これは薄々想像していたことではあったが、引き抜くときの方が圧倒的にヤバい。
それ以上引き抜くことが躊躇され、かといってそのままにもできず、俺はもう一度最後までそれを押し込んだ。

はぁ、はぁ、とまるで他人事のように、浅い息が響く。
いっそ一思いに。
そう覚悟を決めて、硬い持ち手を握る。

「……ぅぁあああっ」

内臓を引きずり出されるようなエゲツない快感に、声を抑えることなんてとてもできなかった。
他に誰もいないのだからそんなこと、考える必要はないのだが。
自分の声に煽られて、ベッドに掛けた尻からずり落ちそうになる。
這い上がって膝立ちになり、後ろ手にもう一度当てがう。

早く次の刺激が欲しくて、今度は躊躇なく中へと押し込む。
征士と同じ大きさなのに、征士とは全く違うものを咥え込んでいる俺を、ここにいない征士が見ている。
引き摺り出し、また押し込む。
喉の奥から声が上がる。
そんな俺の雌を嘲笑うように、雄はそそり立って揺れ、こっちも何とかしろとねだる。

征士は今どこで、何をしているのだろう。

『使わないのではなかったのか』

引き摺り出す淫楽と一緒に、耳元で声が聞こえる。

こんなことに耽っている俺を見ないで。
いや、見て欲しい?
征士となら、触れられないもどかしさすら気持ちいいのに。

「征、……士……!」

自分の声で聞こえるその名にまた煽られる。

膝が戦慄いて身体を起こしていることもできなくなり、ベッドに倒れ込む。左手が今にも弾けそうなイチモツに届き、握るだけでイキそうになる。

「く……ぁあっ」

堪えて力を入れれば尻の異物感が一層増し、また思わぬ浮ついた声が転がり出る。

「あ、あ、ぁあ……」

もうなり振りなど構っていられない。

「征士、征……じっ、せ…」

息と息の合間に征士の名を呼ぶ。
征士とやってる最中にだって、こんなに征士の名前を口になんかしないのに。
俺をかき回すものを、擦り上げる手を、征士のものだと思いたいのに、肌に馴染まない異物はそれが征士ではないことを殊更に主張する。
頭の中は征士で一杯になる。

「征士、征士、征士……ぁあああ」

シーツが汚れるのなんて構っちゃいられなかった。
勢いよくブツを引き抜き、最後は必死に右手で擦り上げて、イッた。

仰向けに大の字になって、呆然と天井を眺める。
荒い息だけがやけに響いていた。

「アホ征士……早く帰って来いよっ」

後始末なんかしないで、寝た。



「そういえば、あの箱はどうした?」

翌日。
遼たちに渡すつもりの土産をどこかに置いておこうと思案して部屋を見回した征士は、例の小箱がなくなっていることに気がついた。

「……捨てた」

俺は一言で返したが、征士が「そうか」と言ったきり、それについてもう何も言わないのが、返って気持ち悪い。

朝、最悪な気分で片付けながら、金輪際一人では使わない、そして絶対に二人でだって使わせないと心に決めた割には結局捨てることができず、またきれいに箱に収め直して、実は机の引き出しの奥底にあることが見透かされているようで。

やっぱり今度のゴミの日には捨てようと、胸に誓う俺なのだった。



おわり
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