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【102-02】伊達副操縦士と羽柴管制官 その2

二人の歳は三十前後。
で、機長はないので、副操縦士になりました。

羽柴当麻さん、お誕生日おめでとう\(≧∇≦)/



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T-1

「お疲れ様でした!」

「お疲れさん」

「羽柴さん、俺たち明日遅番だよね?」

「そうですね。お疲れ様でした」

今日の反省会を終えて管制室から出ると、そこにはいるはずのない、色素の薄い癖っ毛の男が立っていた。

「征士!」

驚いて呼びかけると、征士は悪戯が成功した笑みを満面に浮かべて片手を挙げた。

「どうしたんだよ。来る予定じゃなかったよな?」

「ああ。急に顔が見たくなってな」

「俺のか?」

「もちろん」

エレベーターに乗り込み、地階のボタンを押す。

征士は変な男だ。
鎧に導かれて世界を守り戦うなどという、自分でも夢だったのではないかと思うような事件の中で出会った仲間の一人なのだが、妙に俺に懐いていた。

将来の職業の希望を聞かれたのは大学の受験勉強の只中だったろうか。
その頃から俺は、その鎧にまつわる出来事の影響もあり、空に関する仕事をしたいと考え、航空管制官を目指すことに決めていた。

そのことを伝えると征士は何かしら考えていたようだ。
春になり、征士が東京の大学の理工学部に入学を決めていて、卒業後は旅客機のパイロットを目指すのだと聞き、心底驚いた。

「当麻とともに、空の仕事ができればいいと思ったのだ。バスや電車の運転手になることが子どもの頃からの憧れだったが、飛行機も大きな乗り物に変わりないからな」

そういう将来の決め方はどうなのかと意見の一つも挟みたくはなったが、一緒に働きたいので私も管制官にとは言わず、いくらか自分の夢も入っているようだったので、水を差すのはやめておいた。
だいたいパイロットになるなんて、志望して努力すれば誰でもなれるという易しいものではない。
これから先どこかできっと、もっと真剣に現実を考えなくてはならないことになるだろう。
そう高を括ってもいた。

しかし征士は頑張り屋だった。
大学を卒業後、航空大学校に入り、そして見事にパイロットになった。
今は立派な副操縦士で、着々とキャリアを積み、機長に近づいている。

「征士お前、どうやって管制室の前まで入れたんだ?」

管制塔は誰でもフラフラと入れるところではない。

「外で待っているつもりだったのだ。それがたまたま知り合いに会ってな。私も驚いた」

聞けば、入口の警備をしている伊達さんは征士の遠縁なのだそうだ。
征士の爺さんと懇意だったので、征士が子どもの頃、家へ何度も来ていたのだという。
征士が飛行機に乗るようになったということは爺さんに聞いて知っていたらしく、征士の特徴のある見た目も相まって、奇跡の再会が果たされたのだ。

「なるほどなぁ。伊達さんって名前だから気になってはいたんだが、まさか征士の親戚だったとはな」

地階につくと、その伊達さんがニコニコと征士と俺を出迎えた。

「まさか征士君が、羽柴さんと知り合いやったとはねぇ」

「私もまさかこんなところで『博多のおじさん』にお会いできるとは思ってもみませんでした」

お元気ですか、いやもう歳やけん、そげに元気じゃなかなんて、伊達さんと征士が話している間、俺はずっと、征士を眺めていた。




つづく
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