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【102-01】伊達副操縦士と羽柴管制官 その1

スパークではスペースにお立ち寄りいただき、ありがとうございました。
その後のオフ会で盛り上がった、伊達機長と羽柴管制官の設定で。
少しずつ書いていければと思います。




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D-1

NY。
空港に近いホテルの、馴染みの室内。
ベッドの上に荷物を下ろす。

「ふぅ……」

ネクタイを外し、椅子の背にかける。
長いフライトだ。
慣れた仕事とはいえ、それなりに疲れてはいる。
一眠りしたい気もするが、一時間後にはチームで食事に出かけることになっている。

この一時間というのが曲者で、部屋に落ち着いてしまうには短いし、軽くシャワーを浴びて出かけるだけの隙間時間としては、微妙に持て余す。
しかし同行する客室乗務員の面々にとっては、食事に行くための身支度に最低必要な時間らしい。
小さな窓は夕焼けの色に染まっている。
日本は朝の六時。
当麻は……。
手帳を開き、今日の欄に目を落とす。
当麻は早番になっている。
長い夜がまだ明けきらない福岡国際空港。
冷たく冷えた滑走路を見下ろして、もう仕事をしているのだろう。

「電話もできん、か」

福岡にいる当麻に会いに行く予定は来月だ。
しかし。
日本に戻ったら、その足で会いに行ってしまおうか。
手帳を閉じて、デスクに載せる。
ワイシャツを脱いで、ランドリー行きの袋に放り込む。

当麻に会いたい。

空の安全を守る管制官を目指すという当麻につられて自分の道を模索した結果、私は成田から国際線を飛ばす仕事をしている。
鎧をまとって空を飛んだ当麻ではなく、自分が空を飛んでいるのは何の因果か。
元々車でも船でも、機械を操ることには興味があったから、あながち当麻につられただけでもないのだが。

夢を叶え航空管制官となった当麻は長い研修のあと全国に転勤を繰り返し、春からは九州、福岡に行ってしまっていた。
共にある時間を少しでも多く持ちたいと仕事を選んだつもりなのに、月に二度でも顔を合わせられればいい方で。

当の当麻は私のことをどう思っているのかも、実は定かではないのだ。
会いにいけば嬉しそうに迎えてくれるし、キスをすれば応えてくれる。
私と当麻は恋人同士であろう、そう信じているのだが。

熱いシャワーで頭を流しながら、そんなことを考えていたら、本当に当麻の顔を見たくてたまらなくなってきた。

日本に帰ったら、福岡に行こう。





つづく
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