たいいくのひ
since November 22th 2012
【005】恋人はサンタクロース
12月です。
緑青です。
初めての二人のクリスマスです。
相変わらずイチャイチャしています。
緑青です。
初めての二人のクリスマスです。
相変わらずイチャイチャしています。
**********
「うまかったなぁ、寿司」
「そうだな」
「もう一軒、寄って飲んでも良かったかな」
「ああ…でも、こうしてうちでのんびり飲むのも悪くない。街中が騒がしいからな、クリスマスイブは」
「だな。…なぁ征士、お前、サンタクロースって、いつまで信じてた?」
「なんだ?」
「ああ。もしかしてお前のうちは、クリスマスパーティなんてやらないうちだったか」
「いや、意外とそうでもない。我が家でもクリスマスには家族でケーキを食べたし、ちゃんとサンタも来た。皐月が中学生になる前までだったろうか……」
「でも征士は、その時点まで信じてたわけじゃないだろう? サンタクロースのこと」
「そうだな。人並みに小学校の五、六年の頃には、もうプレゼントは親が持ってきているのだと知っていた気がするな」
「ふうん」
「当麻は? その……、お前のところには、サンタは来ていたのか?」
「ああ。一応親と一緒に住んでいた中三まで、俺のところにもサンタクロースが来ていたな」
「ほう。それこそ、そこまで本当に信じていたわけではあるまい」
「俺はもう、小学校に上がる時分には、これは親がやっているんだって感づいてたな」
「……それもまた早めだな。では……九年間もわかってて乗っていたわけか」
「毎年よくやるなーって思ってたよ。嬉しかったけど」
「確かに、騙されているとわかっていても嬉しいものだな」
「まあな。ただ……うーん、騙されてるっていうのも、ちょっと違う気がするんだよな」
「ほう?」
「征士、サンタクロースって実は俺、本当にいると考えているんだ」
「?……。サンタは親がやっているのだと、今言ったばかりではないか」
「それそれ。サンタクロースを信じてた子どもの頃ってさ、実際に白い髭のお爺さんがいて、プレゼントを配って回っていると思っていただろう?」
「ああ、そうだな」
「俺の考えるサンタクロースはそこがまず、ちょっと違う。存在の仕方が違うんだ」
「ほう」
「サンタクロースとは人間や妖精や、神様みたいないわゆる人物じゃない。現象なんだ」
「現象?」
「そ」
「…お前の言うことは相変わらず、よくわからんな」
「うーん。親が子どもの枕元に、夜中にこっそりプレゼントを置くだろう?」
「ああ」
「そのこと自体が、サンタクロースだってこと。…わかるか? その行為とか、気持ちとかの名前がサンタクロースなんだよ」
「……なるほど。それは面白い考えだな」
「だろ?」
「ではやはり、サンタは本当にいるわけだ。いや、あると言うべきか」
「そ。世界中に」
「では今夜は、当麻のところにもサンタがくるかもしれんな」
「お。何かくれるのか?」
「一応…その…初めてのクリスマスだからな」
「…初めて?」
「だからその……当麻と一緒にいられるようになって」
「一緒に」
「そうだ。お前と私が恋人として……その……」
「…………」
「……照れるな」
「あはは。…征士が俺にサンタクロースしてくれるんだな」
「そういうことだな。……嬉しいか?」
「ああ、とても」
「ならば、お前が寝てしまってから仕込むとしよう」
「寝てからか…」
「なんだ?」
「俺が寝た後、もう一度お前が起き出すのも寂しいな。一緒に寝ていたい」
「当麻は絶対に目を覚まさないから大丈夫だ」
「ええ~?」
「それではサンタができないではないか」
「ほら、そうだ、あれ、♪恋人はサンタクロ~ス……ってやつ? 今ここでくれたって、ちゃんと俺にサンタクロースが来たってことにするから、な?」
「………」
「…ん?」
「…今のはナニか。あのユーミンの歌のつもりか」
「そうだよっ」
「いいのか? 夜中にこっそりじゃなくて」
「うん、今、欲しい」
「…………」
「ん?」
「その台詞は………今ここで、押し倒したくなるな」
「ちょ、プレゼントくれてからにしろよ!」
「そっちはやはり明日にしよう。クリスマスは明日だ」
「あ、よせ、てめ、約束が違うぞ」
「これからプレゼントを渡して、それを開いて、ひとしきり喜んでいたのでは、私が待ちきれん」
「んんっ……………だ……征…士っ」
「メリークリスマス…」
お・わ・り
**********
2019/12/22加除修正。
「うまかったなぁ、寿司」
「そうだな」
「もう一軒、寄って飲んでも良かったかな」
「ああ…でも、こうしてうちでのんびり飲むのも悪くない。街中が騒がしいからな、クリスマスイブは」
「だな。…なぁ征士、お前、サンタクロースって、いつまで信じてた?」
「なんだ?」
「ああ。もしかしてお前のうちは、クリスマスパーティなんてやらないうちだったか」
「いや、意外とそうでもない。我が家でもクリスマスには家族でケーキを食べたし、ちゃんとサンタも来た。皐月が中学生になる前までだったろうか……」
「でも征士は、その時点まで信じてたわけじゃないだろう? サンタクロースのこと」
「そうだな。人並みに小学校の五、六年の頃には、もうプレゼントは親が持ってきているのだと知っていた気がするな」
「ふうん」
「当麻は? その……、お前のところには、サンタは来ていたのか?」
「ああ。一応親と一緒に住んでいた中三まで、俺のところにもサンタクロースが来ていたな」
「ほう。それこそ、そこまで本当に信じていたわけではあるまい」
「俺はもう、小学校に上がる時分には、これは親がやっているんだって感づいてたな」
「……それもまた早めだな。では……九年間もわかってて乗っていたわけか」
「毎年よくやるなーって思ってたよ。嬉しかったけど」
「確かに、騙されているとわかっていても嬉しいものだな」
「まあな。ただ……うーん、騙されてるっていうのも、ちょっと違う気がするんだよな」
「ほう?」
「征士、サンタクロースって実は俺、本当にいると考えているんだ」
「?……。サンタは親がやっているのだと、今言ったばかりではないか」
「それそれ。サンタクロースを信じてた子どもの頃ってさ、実際に白い髭のお爺さんがいて、プレゼントを配って回っていると思っていただろう?」
「ああ、そうだな」
「俺の考えるサンタクロースはそこがまず、ちょっと違う。存在の仕方が違うんだ」
「ほう」
「サンタクロースとは人間や妖精や、神様みたいないわゆる人物じゃない。現象なんだ」
「現象?」
「そ」
「…お前の言うことは相変わらず、よくわからんな」
「うーん。親が子どもの枕元に、夜中にこっそりプレゼントを置くだろう?」
「ああ」
「そのこと自体が、サンタクロースだってこと。…わかるか? その行為とか、気持ちとかの名前がサンタクロースなんだよ」
「……なるほど。それは面白い考えだな」
「だろ?」
「ではやはり、サンタは本当にいるわけだ。いや、あると言うべきか」
「そ。世界中に」
「では今夜は、当麻のところにもサンタがくるかもしれんな」
「お。何かくれるのか?」
「一応…その…初めてのクリスマスだからな」
「…初めて?」
「だからその……当麻と一緒にいられるようになって」
「一緒に」
「そうだ。お前と私が恋人として……その……」
「…………」
「……照れるな」
「あはは。…征士が俺にサンタクロースしてくれるんだな」
「そういうことだな。……嬉しいか?」
「ああ、とても」
「ならば、お前が寝てしまってから仕込むとしよう」
「寝てからか…」
「なんだ?」
「俺が寝た後、もう一度お前が起き出すのも寂しいな。一緒に寝ていたい」
「当麻は絶対に目を覚まさないから大丈夫だ」
「ええ~?」
「それではサンタができないではないか」
「ほら、そうだ、あれ、♪恋人はサンタクロ~ス……ってやつ? 今ここでくれたって、ちゃんと俺にサンタクロースが来たってことにするから、な?」
「………」
「…ん?」
「…今のはナニか。あのユーミンの歌のつもりか」
「そうだよっ」
「いいのか? 夜中にこっそりじゃなくて」
「うん、今、欲しい」
「…………」
「ん?」
「その台詞は………今ここで、押し倒したくなるな」
「ちょ、プレゼントくれてからにしろよ!」
「そっちはやはり明日にしよう。クリスマスは明日だ」
「あ、よせ、てめ、約束が違うぞ」
「これからプレゼントを渡して、それを開いて、ひとしきり喜んでいたのでは、私が待ちきれん」
「んんっ……………だ……征…士っ」
「メリークリスマス…」
お・わ・り
**********
2019/12/22加除修正。
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