たいいくのひ

「…………よかったなぁ」

「ああ、いい終わり方だったな」

「うん……よかった…」

「なんだ当麻、お前、泣いているのか」

「え？ あ、う。ほんとだ。やべ」

「意外と涙もろいのだな」

「うるさいな。そういうお前だって」

「……あのラストは反則だ」

「だよなぁ。くそ。子どもが観るような映画だと思って侮った」

「行こうか」

「ちょっと待てよ。男二人してこの映画観て、二人とも泣きながら出るのもどうよ」

「不都合か」

「かっこ悪いだろ」

「ならば早く泣き止め」

「お前こそ」

「私はそんなに泣いてない」

「うそつけ。鼻が真っ赤だぞ」

「本当か」

「ああ。俺のがマシだぜ？ 絶対」

「お前は現在進行形で涙が出ているではないか」

「え、…あー」

「最後のあの台詞が…」

「こら征士、やめろ。思い出させるな」

「ああくるとは思わなかったな」

「やめろってば…くぅ、止まらん」

「はははは」

「いけず」

「もうしばらく座っているか」

「それも間抜けだなぁ。出たらすぐのトイレに寄って行こうぜ」

「そうだな。では行こう」

「おう。くっそ、ほんとやられたなー」

「ああ、これも見たいな。来週はこれなんかどうだ」

「うわ、また泣きそう」




end