たいいくのひ
since November 22th 2012
【093-02】パパとママ 2
パパとママの続きです。
抗議の電話。
おめでとう緑青です。
**********
「はい。もしもし」
「もう!とーまクンっ!………って、あら?……これ、当麻クンの携帯電話じゃ……??」
「当麻君のお母様ですか。わたくし、伊達征士と申します。この度は……」
「きゃぁああああ!伊達クン?伊達クンなの?あはは!やっだー!嘘みたい!」
「いえ、決して嘘では……」
「わ。征士てめっ。なに、人の電話に出てるんだよ!」
「ああ、当麻。着信がお母様のようだったからな。ご挨拶をと……」
「勝手なことするな、こら!貸せ!……か、え、せ!」
「お母様。今、当麻君に代わります」
「はいはーい♡」
「何が当麻君、だっ。アホ!……あ、母さん?」
「やっほー、当麻クン。元気みたいだねぇ」
「ああ。まぁまぁだよ。何か用?」
「源一郎クンのところに行ったんですって?伊・達・ク・ン・と♡」
「……もう聞いたのか」
「そうだよ。酷いじゃない。あたしより先に、源一郎クンに紹介するなんてさ!」
「……母さんには、会わせたことあるだろう」
「あれはもう何年も前の話でしょう。しかもあの時は当麻クン、友人だって言ってたじゃないの。源一郎クン言ってたよ?当麻クンが『恋人を』連れてきたって」
「ああ、そういうことだから。しばらく前から一緒に住んでるから、よろしくな。じゃ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ、当麻クン!なんでそんなに素っ気ないかなぁ」
「恥ずかしいからだよ!父さんから全部聞いたんだろう?その通りだから。な。切るよ」
「あの源一郎クンからの情報だけじゃ、モノ足りないのに決まってるでしょう? 」
「……ったく……。なんて言ってたんだよ、父さんは」
「そうだねぇ。当麻クンが伊達クンと目と目でしっかり通じ合ってて、緊張してる当麻クンが一生懸命に伊達クンとアッツアツになった顛末を説明しようとするんだけど、自分でも何しゃべってるかわからなくなって真っ赤になってアワアワしちゃってるの、伊達クンが自分も緊張してるのに優しーくカッコよく誠実感満載でフォローしてくれて、もう仲が良すぎて当てられちゃって当てられちゃって、実に居た堪れなかったって。そう言ってたかな」
「な……!」
「ふっふっふ」
「……父さん、本当にそんなこと言ってたの……?」
「あら。もしかして図星?そんな感じだった?キャー!もう!私も見たかった!ずるいなぁ、源一郎クン!」
「…………」
「本当はね。二人とも緊張してて、当麻クンはあたふたして伊達クンは堂々としてたって言ってただけ。後はあたしの想像♡ あたしもさすがね。五年前の当麻クンと伊達クンのあの様子と、源一郎クンの面白くもない僅かな情報から、これだけ真実に迫れちゃうんだから!」
「……可愛い息子のいたいけな心臓をいたぶるのはやめてください」
「うふー♡ で?なになに?源一郎クンのところには、恋人紹介するって予告してから行ったわけ?」
「そりゃ、まぁね。大事な奴を紹介したいからって電話して。いつもの通りの暇ナシらしいから、15分だけ時間くれって言って研究所の近くのあそこ、ほら、前に母さんとも行った店」
「ああ、あそこね」
「うん。どうせ待たされるんだろうと思ってたんだけど、あの父さんが約束の時間通りに来たのは意外だったな」
「へぇ。さすがの源一郎クンも、当麻クンの彼女待たせちゃ悪いと思っただんねぇ、きっと」
「……父さん、怒ってた?」
「何を?」
「その……。彼女じゃなくて、彼氏だったコト」
「どうして?」
「もちろん大歓迎を期待してたわけじゃないけど、それにしても結局ろくに口もきかないで終わったからさ。相変わらず何考えてンだかわかんない顔してたし」
「ふふ。ちょっと困ってはいたみたいだけど、怒ってはいなかったよ。だいたい、怒ることじゃないでしょ」
「ふぅん、そうか……。母さんは?」
「何よ」
「どうなの?」
「別に〜。意外だったからビックリはしたけどね。当麻クンは只者じゃないから、只者じゃない人になるんだろうなぁとは思っていたけど、お嫁さんになるってのは、さすがのあたしも想像してなかったわ。あはは。やっぱりまだまだ甘いわ」
「おヨメってねぇ……!」
「あたしはね、当麻クンが幸せだったら、それでいいの。源一郎クンもきっと同じよ。……で?いつからだったの〜?」
「何が」
「決まってるでしょう、当麻クン。キミ、伊達クンといつから恋人になったの。前に一度会った時。あの時は確かに、まだ友達だったよね?」
「ノーコメント」
「あああ!ずるいずるい!黙秘権なし!」
「何でだよ。もう切るぞ。国際電話でくだらない長話はもったいない」
「当麻クン?」
「……何だよ」
「このあたしに向かって、そんな態度とって、キミ、大丈夫なの?」
「はぁ?」
「伊達クンに言っちゃうよぉ。当麻クンの小さい頃の、あんなことやこーんなこと……」
「何だよそれ。卑怯だぞ」
「じゃあ答えて。いつから恋人になったの?何年前の何月?きっかけは?」
「母さん。母さんはいつもそうやって、相手を脅迫して記事書いてるのか?」
「時と場合によります。 どっちから告白したの?初めてのキスは付き合い始めてからどのくらいで、どんなシチュエーションだったの? プロポーズはどっちから?」
「ひでぇ。芸能リポーターかよ。あのね、母さん。そういうことは普通、親には話さないものです」
「当麻クンは、あたしとキミが普通の親子だって思ってるの?」
「…………いや……あまり……」
「でしょう?あたしは国際ジャーナリストだよ?知りたい情報は、どんな手を使っても……」
「おっそろしいなぁ。とにかく、母親だろうが国際ジャーナリストだろうが宇宙一の敏腕芸能リポーターだろうが、その手の質問にはお答えできません!」
「けち」
「 ……電話じゃなくてさ、遊びに来なよ、父さんと。こっちに帰ってくることもあるんだろう?」
「……そうね。年末には遊びに行く。源一郎クンに予定聞いてみる」
「ああ。前みたいに突然、明日帰る〜じゃなくて、もうちょっと早く連絡よこしてよ。……征士と迎えに行くから」
「ありがと。楽しみにしてるね。じゃあ最後に伊達クンに代わって?」
「いやだ」
「ほんと、当麻クンっていつからそんなケチンボになったのかなぁ。じゃ、彼にヨロシクね。また電話します」
「お待ちしてます」
「じゃ」
「ん、また」
おわり
☆オマケ☆
「…………何だ、当麻。切ってしまったのか。私も話がしたかったのに」
「代わるか!ボケ!」
抗議の電話。
おめでとう緑青です。
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「はい。もしもし」
「もう!とーまクンっ!………って、あら?……これ、当麻クンの携帯電話じゃ……??」
「当麻君のお母様ですか。わたくし、伊達征士と申します。この度は……」
「きゃぁああああ!伊達クン?伊達クンなの?あはは!やっだー!嘘みたい!」
「いえ、決して嘘では……」
「わ。征士てめっ。なに、人の電話に出てるんだよ!」
「ああ、当麻。着信がお母様のようだったからな。ご挨拶をと……」
「勝手なことするな、こら!貸せ!……か、え、せ!」
「お母様。今、当麻君に代わります」
「はいはーい♡」
「何が当麻君、だっ。アホ!……あ、母さん?」
「やっほー、当麻クン。元気みたいだねぇ」
「ああ。まぁまぁだよ。何か用?」
「源一郎クンのところに行ったんですって?伊・達・ク・ン・と♡」
「……もう聞いたのか」
「そうだよ。酷いじゃない。あたしより先に、源一郎クンに紹介するなんてさ!」
「……母さんには、会わせたことあるだろう」
「あれはもう何年も前の話でしょう。しかもあの時は当麻クン、友人だって言ってたじゃないの。源一郎クン言ってたよ?当麻クンが『恋人を』連れてきたって」
「ああ、そういうことだから。しばらく前から一緒に住んでるから、よろしくな。じゃ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ、当麻クン!なんでそんなに素っ気ないかなぁ」
「恥ずかしいからだよ!父さんから全部聞いたんだろう?その通りだから。な。切るよ」
「あの源一郎クンからの情報だけじゃ、モノ足りないのに決まってるでしょう? 」
「……ったく……。なんて言ってたんだよ、父さんは」
「そうだねぇ。当麻クンが伊達クンと目と目でしっかり通じ合ってて、緊張してる当麻クンが一生懸命に伊達クンとアッツアツになった顛末を説明しようとするんだけど、自分でも何しゃべってるかわからなくなって真っ赤になってアワアワしちゃってるの、伊達クンが自分も緊張してるのに優しーくカッコよく誠実感満載でフォローしてくれて、もう仲が良すぎて当てられちゃって当てられちゃって、実に居た堪れなかったって。そう言ってたかな」
「な……!」
「ふっふっふ」
「……父さん、本当にそんなこと言ってたの……?」
「あら。もしかして図星?そんな感じだった?キャー!もう!私も見たかった!ずるいなぁ、源一郎クン!」
「…………」
「本当はね。二人とも緊張してて、当麻クンはあたふたして伊達クンは堂々としてたって言ってただけ。後はあたしの想像♡ あたしもさすがね。五年前の当麻クンと伊達クンのあの様子と、源一郎クンの面白くもない僅かな情報から、これだけ真実に迫れちゃうんだから!」
「……可愛い息子のいたいけな心臓をいたぶるのはやめてください」
「うふー♡ で?なになに?源一郎クンのところには、恋人紹介するって予告してから行ったわけ?」
「そりゃ、まぁね。大事な奴を紹介したいからって電話して。いつもの通りの暇ナシらしいから、15分だけ時間くれって言って研究所の近くのあそこ、ほら、前に母さんとも行った店」
「ああ、あそこね」
「うん。どうせ待たされるんだろうと思ってたんだけど、あの父さんが約束の時間通りに来たのは意外だったな」
「へぇ。さすがの源一郎クンも、当麻クンの彼女待たせちゃ悪いと思っただんねぇ、きっと」
「……父さん、怒ってた?」
「何を?」
「その……。彼女じゃなくて、彼氏だったコト」
「どうして?」
「もちろん大歓迎を期待してたわけじゃないけど、それにしても結局ろくに口もきかないで終わったからさ。相変わらず何考えてンだかわかんない顔してたし」
「ふふ。ちょっと困ってはいたみたいだけど、怒ってはいなかったよ。だいたい、怒ることじゃないでしょ」
「ふぅん、そうか……。母さんは?」
「何よ」
「どうなの?」
「別に〜。意外だったからビックリはしたけどね。当麻クンは只者じゃないから、只者じゃない人になるんだろうなぁとは思っていたけど、お嫁さんになるってのは、さすがのあたしも想像してなかったわ。あはは。やっぱりまだまだ甘いわ」
「おヨメってねぇ……!」
「あたしはね、当麻クンが幸せだったら、それでいいの。源一郎クンもきっと同じよ。……で?いつからだったの〜?」
「何が」
「決まってるでしょう、当麻クン。キミ、伊達クンといつから恋人になったの。前に一度会った時。あの時は確かに、まだ友達だったよね?」
「ノーコメント」
「あああ!ずるいずるい!黙秘権なし!」
「何でだよ。もう切るぞ。国際電話でくだらない長話はもったいない」
「当麻クン?」
「……何だよ」
「このあたしに向かって、そんな態度とって、キミ、大丈夫なの?」
「はぁ?」
「伊達クンに言っちゃうよぉ。当麻クンの小さい頃の、あんなことやこーんなこと……」
「何だよそれ。卑怯だぞ」
「じゃあ答えて。いつから恋人になったの?何年前の何月?きっかけは?」
「母さん。母さんはいつもそうやって、相手を脅迫して記事書いてるのか?」
「時と場合によります。 どっちから告白したの?初めてのキスは付き合い始めてからどのくらいで、どんなシチュエーションだったの? プロポーズはどっちから?」
「ひでぇ。芸能リポーターかよ。あのね、母さん。そういうことは普通、親には話さないものです」
「当麻クンは、あたしとキミが普通の親子だって思ってるの?」
「…………いや……あまり……」
「でしょう?あたしは国際ジャーナリストだよ?知りたい情報は、どんな手を使っても……」
「おっそろしいなぁ。とにかく、母親だろうが国際ジャーナリストだろうが宇宙一の敏腕芸能リポーターだろうが、その手の質問にはお答えできません!」
「けち」
「 ……電話じゃなくてさ、遊びに来なよ、父さんと。こっちに帰ってくることもあるんだろう?」
「……そうね。年末には遊びに行く。源一郎クンに予定聞いてみる」
「ああ。前みたいに突然、明日帰る〜じゃなくて、もうちょっと早く連絡よこしてよ。……征士と迎えに行くから」
「ありがと。楽しみにしてるね。じゃあ最後に伊達クンに代わって?」
「いやだ」
「ほんと、当麻クンっていつからそんなケチンボになったのかなぁ。じゃ、彼にヨロシクね。また電話します」
「お待ちしてます」
「じゃ」
「ん、また」
おわり
☆オマケ☆
「…………何だ、当麻。切ってしまったのか。私も話がしたかったのに」
「代わるか!ボケ!」
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