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【088】希望

タイトルは「希望」だけど、暗いです。
緑青。
R18です!



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戦況は不利に傾いている。
気づかれてはいけない。
妖邪のやつらにではない。
やつらは己の優勢にとっくに気づいている。

劣勢を気づかせてはならないのは、味方だ。
ともすればこのまま全滅に転がってしまいかねない、この戦局を悟られてはいけない。
遼に。
伸に。
秀に。
困難の向こうに希望を見せなくてはならない。
そうしなければ最大限の力は発揮されない。
何よりもそこに一番神経を使う。
自分では見出せない光を信じさせる。
俺の中の闇は一層深くなる。
擦り切れる。
最大限が引き出せたとして、それで歯が立つのか。

「征士」

つかの間の休息。
小さな火の周りで眠り込む仲間たちの中から、緑色のアンダーギアの背中に低く小さく声をかける。
すぐに長い睫毛がふわりと動き、その下から紫色の虹彩が現れる。

「何だ」

俺は返事をせず、歩き出す。

「またか」

呟く声と、立ち上がる気配を背中に感じる。
いつものように静かに、征士は俺についてくる。

愚かな儀式におあつらえ向きの廃墟を見つけることは簡単だ。
崩れ落ちたビルの陰で振り返ると、俺は征士の首に抱きつき、齧るように口づける。
アンダーギアの胸が、コツンと乾いた音を立てる。
その音を合図にアンダーギアはとけてなくなり、シャツの生地越しに征士の体温が伝わってくる。
熱い。
ジーンズを下ろすのももどかしく、尻を突き出す。

「早くしろよ」

「まったく我らが軍師殿は、妙な趣味をお持ちだ」

そんな言葉と、征士がズボンのベルトをゆるめる音にじれる。

「嫌ならやめろ」

我ながら余裕のない声が上がる。
征士は微笑っている。

「嫌なら、ついてこないさ」

俺は知っている。
征士は決して断らない。
征士には、ありもしない未来を語らなくてもいい。
これだけが今、俺に許された唯一の真実。

いきり勃った征士のモノが望み通りケツの穴から捻り込まれる。
自分のブツを握った俺の手ごと征士の手が上から強くしごきあげる。

「もっと……!」

壁に手をつき、息をつくこともできず、ただ溺れる。

征士が何を思っているのか。
そんなことは知らん。
今はただ、何も考えたくないんだ。




おわり
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