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【003】みんなが知りたかったこと

征当です。
当麻誕企画、touMATAn2012においていただいていたものです。
性描写あり…か…?

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**********
 
 
 
「あのさ、俺、征士と当麻に聞きたかったことがあるんだけど」
 
久しぶりに柳生邸に集まった二十代半ばの青年五人。
庭先でバーベキューをしながらの昼下がり。
 
ナスティは済ませたい用があり、小一時間で戻ると言って出かけて行った。
車が見えなくなってしまったのを見届けて、遼が口を開いた。
 
 
「征士と当麻はさぁ、恋人同士なんだろ?」
 
他の四人がギョッとして、一斉に遼を見る。
 
征士と当麻が一緒に暮らしていて、それはただの同居ではないことは、ナスティも含めたここにいる全員の周知の事実だ。
 
二人の関係を理解して祝福するまでにかかった時間やいきさつは各々様々なのだが、今はそのことをタブーに思っている仲間はいない。
 
だけど…というか、だからこそ、そのことについて特に話題にしたり、突っ込んだ質問をしないことが、みんなの暗黙の了解になっていた。
 
当の征士と当麻だって、みんなの前では、ただの仲の良い友人として振舞っている。
 
 
遼は久しぶりにみんなが集まった楽しさとビールですっかり出来上がっているらしい。
いつもの五割増しで無邪気にニコニコしている。
 
これはまずい…伸が止めに入ろうとしたが、すんでのところで間に合わず…。
 
「恋人同士で一緒に住んでるってことはさ、やってるんだろ?」
 
「…り、遼、ほら、ちょっと飲みすぎてるんじゃない?」
 
「そうだぞ、遼、に、肉が焼けてるぞ、食え、食え!」
 
伸の声は動揺で裏返り、秀は箸で肉をつまもうとして三回落っことした。
 
征士と当麻は遼の顔を見たまま、固まっている。
 
遼は笑顔で続ける。
 
「あのさ、どっちがスル方で、どっちがサレる方なんだよ?」
 
その瞬間。
 
征士の顔色は固まったまま変わらず…当麻が瞬時に耳まで真っ赤になった。
 
「へぇー、そうなんだ。なるほどなー。気になってたんだ、ずっと。ありがとな」
 
遼は爽やかな笑顔で礼を言うと、サンキュ、と秀から肉を受け取って口に頬張った。
 
(さすが、遼。誰も怖くて聞けなかったことを…)
 
(グッジョブ! ま、想像はしたくねぇけどよ…)
 
凍りついた空気が元に戻るまで、あと小一時間かかりそうな、柳生邸の庭先だった。
 
 
**********
 
【あとがき】
 
企画では本当にお世話になりました。
たくさんの素敵な作家さん方とも交流ができて楽しかったです!
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