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【084】数万の星の下で

・受けが騎◯位で顔◯する。
・全裸で海岸を走る。揺れるtnkの描写つき。
・どシリアスで!

というTwitterでお友達の皆さんからの無茶振りから生まれた緑青です。
もちろんエッチあり(笑)

ハッピーエンドとは言いにくい内容です。



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**************


パリで乗り換えてアテネまで。
乗り換えの3時間も入れるとほぼ丸一日かかるフライトは、当麻の身体には厳しいのではないかと随分心配した。
しかし当麻は飛行機の中で気持ちよさそうによく眠り、出された機内食もほとんど食べ、私の分まで欲しがるような久々の健啖ぶりを見せた。

翌日は一日ホテルに滞在して身体を休め、次の日から三日間はレンタカーを借り、アテネ周辺で当麻の見たかったという数々の遺跡をのんびりと回った。
遺跡は私でも名前を聞いたり観光写真や教科書の類で見覚えのあるような有名なものから、他に誰も見に来ている者のいない小さなものまで様々だ。
当麻も私もギリシャは初めてなのに、当麻はいつどこで覚えたのかギリシャの言葉で地元の人間と自由自在に会話している。
そのおかげで私たちは地元の人の集まる美味しい食堂で食事をしたり、たまたま開かれていた地域の小さなお祭りを楽しんだりすることができた。

夏休みにはまだまだ早いこの時期に、職場に無理を言って得た連続休暇は十日間だ。残りの滞在期間はのんびり休息をと、小型の飛行機で海の綺麗な島へと渡った。

「疲れただろう」

浜辺が見える独立のコテージが連なるホテルで私たちは荷物を置き、ようやく一息ついた。

「いや、そんなに。どうしてだろうな。ギリシャに来てから調子がいい」

当麻は椅子にかけるでもなく、いても立ってもいられないと言った風で窓から波の音が聞こえてくる外を眺めている。

「ああ。よく食べているしな。顔色もいいようだ」

海へと沈んでいく夕日がコテージから直接は見えないのだが、きっと見事なのだろう。
何とも言えない深いオレンジ色が当麻の顔を照らしている。

「だろ? 水が合ってるのかな」

こちらへ向き直し、真面目なのか冗談なのかよくわからない顔で当麻はそう言った。

「このままギリシャに住むか」

ベッドの上に置いたスーツケースを開き、中からランドリーに出す衣類を取り出しながら返事をする。
本気なのか冗談なのか、自分でもよくわからない。

「それもいいなぁ」

当麻はまた窓の外に見入る。
夕日の名残があっという間に静かな闇に置き換わっていく。

「今日はもう休んだ方がいい」

整理を終えたスーツケースを閉め、重たいそれを部屋の隅へと運ぶ。

「そんなこと言うなよ。ほら、征士。星がすごいぞ」

当麻に言われて窓を見ると、なるほど部屋の中からも星が降ってくるのが見えるようだ。

「海、見に行ってみよう」

私の返事も待たずに、当麻はもう部屋の扉を開けているところだった。

バケーションの時期ではないのでホテルも空室が多いようだったが、夜の砂浜はとても静かで人の姿はどこにも見えなかった。
波が静かに打ち寄せては引いていく。
小さな空っぽの貝殻が波に引き込まれて転がりながら、暗い海へと消える。

「チクショウ。さすがにこの時期、この時間じゃ誰もいないか」

悔しがる当麻の声に私が首をかしげると、振り返った当麻がニヤリと笑う。

「ヌーディストビーチなんだぜ、ここ。もしかしたら裸のおネエちゃんが拝めるかと思ったのになぁ」

「ほう」

それは残念なことだ。
つられてそんなことを思いながらまた海に見入っていると、当麻は着ていた麻のジャケットを脱いで近くの岩の上にのせた。
続いてTシャツを脱ぎ、ベルトを外しにかかっている。

「おい」

「征士も脱げよ。ヌーディストビーチだぞ。誰もいなけりゃ、恥ずかしくなくていい」

私があっけにとられているうちに、当麻は着ていたものを全て脱いでしまった。

「寒くないのか」

夜の海風は長袖を着ていれば心地いいが、決して海で泳ごうという気温ではない。
しかし当麻はそれには返事もせず、

「俺一人裸じゃバカみたいだろう。お前も早く脱げよ」

そう言って裸のまま、波打ち際へと歩いていく。
私は瞬間どうしたものかと迷ったが、当麻がどんどん歩いて行ってしまうので、慌てて着ているものを脱いだ。

戸外で裸になるなどとは、ついさっきまで思いもよらないことであったが、思い切って下着を脱いでしまうと何とも言い難い開放感があった。
当麻を見ると、膝下まで波に入って空を見上げている。
改めて見ると、天地の感覚を見失いそうな満天の星だ。
空と海の間に、当麻の白い身体が浮かんでいる。

「当麻!」

思わず呼びかけると当麻は振り返り、一言、

「寒い」

と言って笑った。

「言わんことではない。まったく」

私は岩にかけてあった当麻の上着を掴むと、せめてそれを肩にかけてやろうと当麻の方へと歩き出した。
当麻はザブザブと海から上がり、こちらへ来るのかと思えば、私とは反対の方へと走り出す。

「当麻!」

「走れ!征士!寒い時は走るんだ!」

まったく、わけがわからない。
私は当麻の上着を掴んだまま、裸で当麻の尻を追いかけた。
どこまでも続く砂浜は、しかしどこまでもがヌーディストビーチでもあるまいにと気にはなったが、当麻はどんどん走っていく。
当麻はあんなに身軽だっただろうか。
私は砂に足をとられて思うようには走れない。
二人の距離が段々と離れていき、息が切れ始めた頃にようやく当麻は遠くで立ち止まり、こちらを向いた。

私は少しでも早く追いつこうと、それでも小走りに駆けていると、当麻はこちらを指差して笑っている。

「お前のチンチン、すげえ暴れてるぞー!」

裸で走れば当然そうなるのだ。
それよりもこんなところで大声でそんな言葉を……と苦言を呈してやろうかと思ったが、ここは日本語の通じないところであったことを思い出す。
やっと追いつくと当麻は海の遠くを眺めて呟いた。

「泳ぎたいなぁ」

私はすっかり息を切らせていたが、当麻の呼吸も穏やかではなかった。
星の明かりで照らし出された顔は青白い。

「おい。さすがに……」

「冗談、冗談。さすがになぁ」

さすがに。
泳ぎたいのに泳がないその理由は、夜の闇か、気温か。それとも自身の体力の問題なのだろうか。

二人でそのまま黙って、しばらく海を見て突っ立っていた。
走ったので、身体だけは寒くはなかった。

何十回目かの波が引いていった拍子に、当麻は黙ったまま私の手を引いて、海とは反対の岩陰へと歩いていった。
私も黙ってそれに引かれていった。

「征士」

背丈より高い大きな岩の陰で当麻は立ち止まるとこちらを向き、私の唇に一度軽く口付けると、持っていた当麻の上着をそっと取り上げ、砂の地面に広げた。

「ここに寝ろよ」

当麻の真意を汲みかねて立ったままでいると、

「早く、征士」

と、当麻は私の手を引いて上着の上に腰を下ろさせて、そして上を向いて横になるようにと導いた。
当麻はそのまま私の上に覆いかぶさるようにして口づける。

激しく舌と舌とを絡めあいながら、当麻の手は私のものと自分のものとを一緒に握り、手の中でこすり合わせていく。
浅ましいそこはすぐに立ち上がって硬くなり、その先端はどちらのものともわからない体液でクチュクチュと音を立て始める。

「征士……征士」

漏れ出す吐息の合間に、当麻が私の名を何度も呼ぶ。
私は返事の代わりに当麻の背中を強く抱いた。

口づけがやんだ。
当麻がゆっくりと私を体内に納めながら腰を下ろしていく。
波の音が聞こえる。
引いては寄せ、寄せては引いていく波。
見上げればそそり立つ岩と当麻と、天の川。

「綺麗だ」

私はこの世界を構成する万物に向かって、そう呟いた。

すっかり腰を下ろした当麻が、今度は身体を揺さぶって身体全体で私を包み、擦りあげていく。
こんなに息を弾ませているのに、身体の中はこんなに熱いのに、私の胸に置かれた当麻の手は冷たいままだ。
私はその手を握り、感じるままに声を上げ、今度は私が何度も当麻の名を呼んだ。
当麻の存在がこれほどに私を満たしていることを伝えたかった。

当麻の動きが早くなり、征士、と小さく一言、絞り出すように私の名を呼んだ。
それと同時に私が触れもしなかった当麻の高まりが弾けて、ほとばしり出た温かいものが私の頬まで飛んだ。

当麻の顔を見上げると、先ほどまでの余裕のなさはどこへやら、してやったりの表情でこちらを見下ろしていた。
私は頬にかかったものを指ですくうと、私の腹の上の当麻の腿でぬぐってやった。
どちらからともなく、私たちは声を潜めて笑った。

当麻の生命を繋ぐもの。

「私が女だったら、よかったのにな」

当麻は私の身体から離れると、隣に転がって一緒に空を見上げた。

「何でだ?」

当麻の声は、穏やかだ。

「私が女なら、こんな風にお前の精液を無駄にすることなく、お前の子を産むこともできただろう」

星が二つ、一度に流れた。
当麻は私の方を向いただろうか。
クシャクシャとその手で、私の頭を撫でた。

「お前、そんな殊勝なこと考えたりするのか。いいんだぜ? 今から交代してやっても」

「やはり……それは御免被る。こんなものを自分の尻に入れて、平気なヤツの気がしれん」

「ひでぇ」

隣からコツン、と。
今度は軽く拳が飛んできた。
そしてまた二人で、今度は声を上げて笑った。

「寒くなってきたな」

当麻の呟きをきっかけに私たちは立ち上がり、ホテルに向かって歩き出した。
ジャケットを肩にかけた当麻が少し前を行く。
もともと肩幅のある男ではないが、痩せたな、と思う。

「明日はおネエちゃん、いるといいな」

こちらを振り向きもせずに、当麻が言う。

「そうだな」

あと半年。
そう言われてから、もうひと月が経った。
残された時間は多くはない。

このままギリシャで暮らすのも悪くはないかもしれない。
そんなことを考えていたら、星がまた一つ、流れた。




おわり
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