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【046-04】a comparison

緑青前提の水青……なのかなぁ。
水兄さんといたしてますので【R18】&【閲覧注意】で。

s の一連の緑青←水話の続き的な。
でも未読でも大丈夫かと。




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**********

月のない晩。
古い書物の匂いで満たされた柳生邸の書斎の、換気のためだけに設けられているのだろう小さな窓の外は、闇。
屋敷の外に咲き誇っているはずの桜も、今は闇に沈んでいるだろう。
積み重なった書物の森の中に、申し訳程度に作られた文字通り「足の踏み場」に、衣服を全て脱ぎ去った当麻が横たわっている。


初めて当麻を抱いたのは、他の住人が全て年末の帰省をした後の、この家のリビングだった。
当麻の心が自分には向かないことを知っていて。
当麻の瞳はいつも征士を追っていることを知っていて。
そして、征士が当麻を見つめる視線にも気づいていて。
それでも僕は……それだから尚更乱暴に当麻を抱いた。
不思議なことに当麻は、僕が彼にすることの一切を拒まなかった。

そんな不毛な関係が数ヶ月も続いた。
いつしか僕は、早く征士が僕から当麻を救い出し、さらっていくことを願うようになっていた。
愛しても愛しても、身体は全てを許しながら、ひとかけらも自分のものにならない当麻を持て余していたのだと思う。
それでもことあるごとに当麻を抱いた。
僕らはいつも何かを恐れ、その怖さから一時逃れるために抱き、抱かれた。

秋のある日。
征士がとうとう当麻に想いを告げた。
そのことは征士から聞かされた。
「私が守る。もう当麻には、指一本触れてくれるな」
二人が初めて身体を重ねるまで、それから数日かからなかったように記憶している。

なぜ、僕がそんなことを知っているのか。

その晩、当麻が僕の部屋にやって来て言ったのだ。
「征士と寝てきた」
と。
そして、
「抱いてくれ」
と、言った。



春の嵐がカタカタと小さな窓を揺らす。
当麻の身体を貫きながら、僕はたずねる。

「僕と征士、どっちが優しい?」

「征士」

「僕と征士、どっちが気持ちイイ?」

「征士」

征士と当麻はそれなりにうまくいっているらしい。
その一方で、僕と当麻の不毛な関係も、今に至っている。

「ならどうして、僕に抱かれるんだよ」

組み敷いた当麻の唇に軽く唇を合わせ、長く伸ばした前髪をそっとかき上げてやる。

「…………」

空の底のように深い深い青の瞳が、どこでもないところを見つめている。

「当麻?」

僕はこの上なく優しい声で、答えを促す。

「俺は……」

そう言いかけて当麻は、僕の両の頬に冷たい指先を這わせ、やっと僕に目を合わせる。

「俺は、お前に優しくして欲しいわけじゃないし、気持ちよくなりたいわけでもない」

「じゃあ、なんなのさ」

もう一度口づけると、当麻の唇から深い息が吐かれる。

「……お前とヤると、息ができる」

「ふうん」

当麻は瞳を閉じて僕の背中に腕を回し、自分の方へ引き寄せる。
僕は、硬い床の上に横たわる当麻の背中が痛くないように、慎重に重みを乗せていく。

風の音が聞こえる。
暗闇の中に、白い桜の花びらが、もう随分と散ってしまっただろうか。




おわり

**********

Twitterで盛り上がった会話の中で、当麻に征士さんと伸兄さんとのエッチを比較させろという指令がありまして(笑)

優しくて気持ちイイのは征士さんらしいですよー。

自分の拙い話の続きにしてしまいました。
すみません!
うふふ。
よろしくー。
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