たいいくのひ
since November 22th 2012
【056】何を今さら
青い人の往生際が悪い話。
「やっぱ、やめとく」
「どういうことだ。ここまできて」
「どういうって」
「昼間にわざわざシャワーを浴び、ベッドの上で裸で二人で、やる気満々に口づけまでしておいて、さぁこれからどう押し倒そうかというところで『やめとく』とはどういうことかと聞いている」
「あからさまだな」
「事実だ。一体なんだと言うのだ」
「恥ずかしいんだよ」
「は?」
「恥ずかしいっつってんだよ」
「何を今更。初めてでもあるまいし、もう何度やってると思っている」
「今日で十二回目だ」
「数えているのか」
「忘れないんだよ、俺は。そういう性分なの知ってるだろ?」
「三ヶ月で十二回か。いいペースだな」
「だろう? ちょっとやりすぎだよな?」
「ちょうどいいと言っているのだが…。まぁいい。だから何なのだ」
「だからさぁ、ほら、二人でいることにも随分と慣れてきたし、そんなに会うたびにやらなくったっていいんじゃないのかと思ってだな」
「要するに、やりたくないのか」
「そうは言ってねぇだろ」
「やめておくと言ったではないか」
「だから、お前とやりたくないとかそういうことではなくて、いつも俺ばっかり恥ずかしいし、今日はちょっとやめておいてもいいんじゃないかとかそういう…」
「回りくどいな。結局やりたくないのであろう」
「やりたくないんじゃない」
「では四の五の言わなくとも良いではないか」
「例えばだな。たまたま入った喫茶店のメニューにチョコレートパフェがあったとするだろ?」
「チョコレートパフェ、か」
「俺はチョコレートパフェは好きだし、食いたい。だけど一週間前にもチョコレートパフェを食ってるんだ」
「聞いただけで胸焼けがするな」
「まぁ聞けよ。チョコレートパフェは美味い。だがな、男一人でサテンに入ってチョコレートパフェを注文するのは恥ずかしい。まぁ恥ずかしくても注文するんだが、ちょっとした勇気がいる」
「お前がか」
「俺がだよ」
「お前が甘味を頼むのを恥ずかしいと思っているとは知らなかった」
「いや、何人かで入った時ならいいんだけどな。全然」
「そういうものか」
「ああ。そりゃ人数は多いほど、目立たなくていい」
「まさかお前…」
「ん?」
「恥ずかしさを紛らわすために、何人もでやりたいなどと言い出すのではないだろうな」
「言わねぇよ! 余計恥ずかしいじゃねぇか! ボケ!」
「殴るな」
「だからそういう時、まぁ今日はやめとくか、先週食ったしな、とか思うだろう」
「私はパフェは食べないが」
「例えばっつったろ」
「第一、お前だけ恥ずかしいとはどういうことだ」
「俺の方が立場的に恥ずかしいだろう。色々と…」
「今、こうして裸でベッドの上で阿呆みたいに向き合って座っているのが恥ずかしいのなら、お互い様と言うものであろう」
「いや、な? ここまではそうでもないって言うか、ここからの色々がだな」
「どんな色々なのか、具体的に言ってみろ」
「アホか。説明する方がもっと恥ずかしいわ」
「まぁ、わからんでもない。恥ずかしがっているお前がまたそそるのだからな」
「………」
「なんだ。やる気になったか」
「お前ってさー。そういうキャラだったのな」
「そういうとは?」
「エロおやじ」
「そうか?」
「そうだよ」
「普通だろう」
「いや、普通じゃねぇと思うぞ。まぁ、とにかくだな。初めてだろうが、今更だろうが恥ずかしいもんは恥ずかしいんだ。で、今日はよしておこうじゃないかっていう、な? 提案だな」
「話はわかった。しかしその提案は却下させてもらう」
「え?」
「諦めてくれ。どうせするなら合意で行いたい。私も無理やりコトに及ぶのは本意ではない」
「どうせするって、何で決まってんだよ。あ、やめろ! これが無理やりじゃなくて何だっつーんだよ! わ、バカ! てめぇ覚えてろよ!」
「覚えているのはお前の仕事だ。私は忘れっぽいのでな」
おわーり。
**********
ははは。
いつものこの感じ!
「やっぱ、やめとく」
「どういうことだ。ここまできて」
「どういうって」
「昼間にわざわざシャワーを浴び、ベッドの上で裸で二人で、やる気満々に口づけまでしておいて、さぁこれからどう押し倒そうかというところで『やめとく』とはどういうことかと聞いている」
「あからさまだな」
「事実だ。一体なんだと言うのだ」
「恥ずかしいんだよ」
「は?」
「恥ずかしいっつってんだよ」
「何を今更。初めてでもあるまいし、もう何度やってると思っている」
「今日で十二回目だ」
「数えているのか」
「忘れないんだよ、俺は。そういう性分なの知ってるだろ?」
「三ヶ月で十二回か。いいペースだな」
「だろう? ちょっとやりすぎだよな?」
「ちょうどいいと言っているのだが…。まぁいい。だから何なのだ」
「だからさぁ、ほら、二人でいることにも随分と慣れてきたし、そんなに会うたびにやらなくったっていいんじゃないのかと思ってだな」
「要するに、やりたくないのか」
「そうは言ってねぇだろ」
「やめておくと言ったではないか」
「だから、お前とやりたくないとかそういうことではなくて、いつも俺ばっかり恥ずかしいし、今日はちょっとやめておいてもいいんじゃないかとかそういう…」
「回りくどいな。結局やりたくないのであろう」
「やりたくないんじゃない」
「では四の五の言わなくとも良いではないか」
「例えばだな。たまたま入った喫茶店のメニューにチョコレートパフェがあったとするだろ?」
「チョコレートパフェ、か」
「俺はチョコレートパフェは好きだし、食いたい。だけど一週間前にもチョコレートパフェを食ってるんだ」
「聞いただけで胸焼けがするな」
「まぁ聞けよ。チョコレートパフェは美味い。だがな、男一人でサテンに入ってチョコレートパフェを注文するのは恥ずかしい。まぁ恥ずかしくても注文するんだが、ちょっとした勇気がいる」
「お前がか」
「俺がだよ」
「お前が甘味を頼むのを恥ずかしいと思っているとは知らなかった」
「いや、何人かで入った時ならいいんだけどな。全然」
「そういうものか」
「ああ。そりゃ人数は多いほど、目立たなくていい」
「まさかお前…」
「ん?」
「恥ずかしさを紛らわすために、何人もでやりたいなどと言い出すのではないだろうな」
「言わねぇよ! 余計恥ずかしいじゃねぇか! ボケ!」
「殴るな」
「だからそういう時、まぁ今日はやめとくか、先週食ったしな、とか思うだろう」
「私はパフェは食べないが」
「例えばっつったろ」
「第一、お前だけ恥ずかしいとはどういうことだ」
「俺の方が立場的に恥ずかしいだろう。色々と…」
「今、こうして裸でベッドの上で阿呆みたいに向き合って座っているのが恥ずかしいのなら、お互い様と言うものであろう」
「いや、な? ここまではそうでもないって言うか、ここからの色々がだな」
「どんな色々なのか、具体的に言ってみろ」
「アホか。説明する方がもっと恥ずかしいわ」
「まぁ、わからんでもない。恥ずかしがっているお前がまたそそるのだからな」
「………」
「なんだ。やる気になったか」
「お前ってさー。そういうキャラだったのな」
「そういうとは?」
「エロおやじ」
「そうか?」
「そうだよ」
「普通だろう」
「いや、普通じゃねぇと思うぞ。まぁ、とにかくだな。初めてだろうが、今更だろうが恥ずかしいもんは恥ずかしいんだ。で、今日はよしておこうじゃないかっていう、な? 提案だな」
「話はわかった。しかしその提案は却下させてもらう」
「え?」
「諦めてくれ。どうせするなら合意で行いたい。私も無理やりコトに及ぶのは本意ではない」
「どうせするって、何で決まってんだよ。あ、やめろ! これが無理やりじゃなくて何だっつーんだよ! わ、バカ! てめぇ覚えてろよ!」
「覚えているのはお前の仕事だ。私は忘れっぽいのでな」
おわーり。
**********
ははは。
いつものこの感じ!
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