たいいくのひ
since November 22th 2012
【047】青く透明な
【R18】
ネタをいただいて書くR18。
触手もの。
緑青。
しかも攻めさんが攻められます!
8月1日はヤオイの日ってことらしいんで(笑)
**********
空気が青い。
確かに息ができるのに、まるで深い湖の底のような。
やっと日の光が届いて、辺りが揺らめいているような。
ピタン…
パタン…
静まり返った空間に水音が響く。
「く……ぁっ…」
不思議な反響をしながら不規則に響いていく声。
「当麻、貴様……何を…考えているッ」
苛立ちを表現しようとする征士の声はすでに幾分かの湿り気を帯びていて。
パタン…
ポタン、ピタン…
透明な青いイキモノ。
太く長く自在にくねる触手は、仄かに光を帯びて征士の両腕と両脚に巻きつき、唾液のようにサラサラと粘る透明な液体を滴らせている。
「…何って?」
征士の問いかけに答える当麻の声は、発せられた声よりも軽く冷たくなって木霊する。
「これを、早くやめ…ろ」
顔に這う触手は青い水晶のように透明で、白い肌が透けて見える。
口から中へ侵入しようとしたそれを、征士は顔を背けて避ける。
テラテラと粘液が頰に光る。
征士の身体は浮かび上がらされ、その両手脚に巻きついた触手の力でそれぞれ別の方向へと開かれている。
すべてが剥き出しとなった逞しい体躯のそこかしこにも同じモノが這い回る。
「やめろだって? 征士…。それ本当は、やめないでくれって意味なんだろ?」
そう言ってクククと笑った当麻は、少し離れた小高い場所からその光景を見下ろしている。
Tシャツにジーンズの、いつもの格好で、青い透明なソファに悠然と腰掛けたまま。
「いい眺めだなぁ」
ゆっくりと前に乗り出して両膝に頬杖をつくと、征士に向かってにっこりと微笑む。
「やめないか…当麻…っ」
何かに耐えながら絞り出す征士の声。
顎が上がりそうになるのをこらえてグッとと引き、紫の両の瞳で当麻を睨む。
「人聞きが悪いなぁ。これ、俺がやってるように見えるか?」
征士を縛り上げる無数の触手は、当麻が座る椅子の後ろから出現し、その両脇を通って征士まで届いている。
現実なのか、夢なのか。
当麻は自分の脇を通るそれに目を遣ると、愛おしそうに撫でた。
その瞬間、征士の身体がビクリと跳ねる。
「お前が…操っているのでは…ないかっ」
息が上がり、頬が紅く染まってくる。
「さあね」
当麻はまた、椅子に深く身体を預ける。
寛いだ左手で触手をもう一度撫でると、また征士が小さなうめき声と共に形のいい顎を上げた。
「貴様…ぁっ」
青い腕は征士の耳をねぶり、首筋を撫で上げ、脇の下をするすると通り抜ける。
「やっ……めろ…っ」
「何だよ征士。そんなこと、お前がいつも俺にやってることだろ?」
愛嬌のある大きな青い瞳を少し見開き、当麻は肩をすくめてみせる。
腹立たしいその仕草に、征士はもう一度鋭い眼光を当麻に投げかけようとして気づく。
瞳の色。
いつもと違う、と言い切れるほどではない。
しかし毎朝、毎晩、時が許せば一日中だって当麻を見つめている征士だからわかる、ほんの少しの違和感。
「と…うま…。貴様、正気では…ないな?」
その言葉に一瞬、当麻の手が止まる。
触手の動きも止まる。
…パタン、ピタン
しかし次の水音でまた当麻の指先は動き出し、触手は征士を刺激する。
「ふ……ぅあっ」
「俺が狂ってるって言うなら、それはいつだってお前のせいだ、征士。お前も…もっと狂えよ」
その言葉とともに触手が征士のペニスを捉える。
これまでの愛撫にも反応を見せなかったそれは、直接の刺激を受けて質量を増し始める。
「当麻ぁっ…よせ…こんな…っ」
「こんなって何だよ。全身を撫でられて舐められて、女みたいによがる気分はどうだ?」
女みたいに…当麻は自分との行為に、いつもそんなことを感じているのだろうか。
受けたショックは脇腹や内股への刺激ですぐにうやむやになる。
触手のもたらす刺激は、愛撫されることに慣れない征士にとって、正直快感であるのか不快であるのか判断しかねるところだ。
わからないが浮かされる。
息が上がる。
そしてペニスへの刺激は確実に快を生み、身体中の血が熱くそこに集まるのがわかる。
「………ぅ………っ」
征士は口からこぼれ出てきそうになる何かを、唇を固く閉ざすことで懸命にこらえる。
当麻はまた指先で触手に刺激を送る。
「…ぅぅっ」
「我慢するなよ、征士。いい声、聞かせろよ」
単調な動きでペニスを刺激していた触手が、妖しくくねる。
チュルチュルと吸い上げるような音が立つ。
「…やめ…っ」
征士の屹立から離れたり、またまとわりついたりしながら触手はうごめく。
触手の滴りと、いきり立った先端からこぼれる透明な征士の粘液が混ざっていく。
「俺の手じゃなくても、そんなになるんだな」
口元だけで笑いながら、当麻は足を組む。
「…なん…だ…と…?」
「俺のナカとどっちがイイ?」
「ふざけるな…当麻、やめ、ろ…っ」
「俺とソレ、どっちがイイかって聞いてるんだ、征士」
当麻はイライラと、もう一度脚を組み替える。
「馬鹿な…っ」
「質問に答えろよ」
「ぅ…あぁっ」
当麻が傍の触手をつかんだ手に力を入れた瞬間、征士のペニスがビクビクと波打ち、白く濁った精液を吐き出した。
「……へえ、触手に弄られるだけでイけるわけだ」
当麻は青い透明なソファから立ち上がる。
そしてピチャピチャと水音を立てながら、征士に歩み寄る。
まだ宙に浮いたままの征士の、濡れて額に張り付いた金の髪を撫でる。
「俺でしかイケないとか、嘘なんだ?」
荒い息を吐きながら、征士は返事をしない。
「まったく…俺に巻きついていた時には、もっとグロテスクなものだったのにな」
触手は、ゆっくりと征士を水のたまった床に下ろす。
そして脱力し、動かなくなった。
当麻はその青く透明なものを、もう一度撫でる。
征士は思い出す。
当麻を襲った触手の化け物は、それはおぞましいもので。
征士が剣で断ち切って成敗したはずだった。
これはあれと同じものだったのか。
現実なのか、夢なのか。
「征士に触れると化け物すら美しくなるんだな。…ずるいよ」
そう言うと当麻は征士の傍らに膝をつき、唇に触れるだけの優しいキスを落とす。
征士を見つめる瞳は、もういつも通りの征士の愛する当麻だ。
「私に抱かれるのは苦痛か?」
征士は当麻を見つめ返す。
「いいや」
当麻は膝立ちになったまま、ベルトのバックルをカチャカチャと外す。
そして、はいているものを片脚だけ脱ぐと、横たわった征士にまたがる。
「もう一回、俺でイッて?」
当麻は後ろ手に回した左の手で、征士のものをもう一度立ち上がらせる。
「そうしてくれ」
一つになればわかる。
欲しいのはこの人なのだと。
「は…ぁああっ」
自分と身体を重ね、全身をわななかせる当麻を見上げながら、征士は思う。
透明な青こそ当麻なのではないかと。
当麻を襲ったおどろおどろしい化け物こそが、おのれの欲望だったのではないかと。
「いい声だ」
「また言ってるな…ぁっ」
「悪いか?」
「悪くないに、決まってるだろ」
妖しく微笑む当麻を突き上げる。
もっともっと、声が聞きたくて。
水音と二人の息遣いが響く、青い世界。
現実なのか。
夢なのか。
おわり
**********
間に合った…801の日!
こんなもんですー。
ぜいはあ。
ネタ提供kさん、ありがとうねー!
ネタをいただいて書くR18。
触手もの。
緑青。
しかも攻めさんが攻められます!
8月1日はヤオイの日ってことらしいんで(笑)
**********
空気が青い。
確かに息ができるのに、まるで深い湖の底のような。
やっと日の光が届いて、辺りが揺らめいているような。
ピタン…
パタン…
静まり返った空間に水音が響く。
「く……ぁっ…」
不思議な反響をしながら不規則に響いていく声。
「当麻、貴様……何を…考えているッ」
苛立ちを表現しようとする征士の声はすでに幾分かの湿り気を帯びていて。
パタン…
ポタン、ピタン…
透明な青いイキモノ。
太く長く自在にくねる触手は、仄かに光を帯びて征士の両腕と両脚に巻きつき、唾液のようにサラサラと粘る透明な液体を滴らせている。
「…何って?」
征士の問いかけに答える当麻の声は、発せられた声よりも軽く冷たくなって木霊する。
「これを、早くやめ…ろ」
顔に這う触手は青い水晶のように透明で、白い肌が透けて見える。
口から中へ侵入しようとしたそれを、征士は顔を背けて避ける。
テラテラと粘液が頰に光る。
征士の身体は浮かび上がらされ、その両手脚に巻きついた触手の力でそれぞれ別の方向へと開かれている。
すべてが剥き出しとなった逞しい体躯のそこかしこにも同じモノが這い回る。
「やめろだって? 征士…。それ本当は、やめないでくれって意味なんだろ?」
そう言ってクククと笑った当麻は、少し離れた小高い場所からその光景を見下ろしている。
Tシャツにジーンズの、いつもの格好で、青い透明なソファに悠然と腰掛けたまま。
「いい眺めだなぁ」
ゆっくりと前に乗り出して両膝に頬杖をつくと、征士に向かってにっこりと微笑む。
「やめないか…当麻…っ」
何かに耐えながら絞り出す征士の声。
顎が上がりそうになるのをこらえてグッとと引き、紫の両の瞳で当麻を睨む。
「人聞きが悪いなぁ。これ、俺がやってるように見えるか?」
征士を縛り上げる無数の触手は、当麻が座る椅子の後ろから出現し、その両脇を通って征士まで届いている。
現実なのか、夢なのか。
当麻は自分の脇を通るそれに目を遣ると、愛おしそうに撫でた。
その瞬間、征士の身体がビクリと跳ねる。
「お前が…操っているのでは…ないかっ」
息が上がり、頬が紅く染まってくる。
「さあね」
当麻はまた、椅子に深く身体を預ける。
寛いだ左手で触手をもう一度撫でると、また征士が小さなうめき声と共に形のいい顎を上げた。
「貴様…ぁっ」
青い腕は征士の耳をねぶり、首筋を撫で上げ、脇の下をするすると通り抜ける。
「やっ……めろ…っ」
「何だよ征士。そんなこと、お前がいつも俺にやってることだろ?」
愛嬌のある大きな青い瞳を少し見開き、当麻は肩をすくめてみせる。
腹立たしいその仕草に、征士はもう一度鋭い眼光を当麻に投げかけようとして気づく。
瞳の色。
いつもと違う、と言い切れるほどではない。
しかし毎朝、毎晩、時が許せば一日中だって当麻を見つめている征士だからわかる、ほんの少しの違和感。
「と…うま…。貴様、正気では…ないな?」
その言葉に一瞬、当麻の手が止まる。
触手の動きも止まる。
…パタン、ピタン
しかし次の水音でまた当麻の指先は動き出し、触手は征士を刺激する。
「ふ……ぅあっ」
「俺が狂ってるって言うなら、それはいつだってお前のせいだ、征士。お前も…もっと狂えよ」
その言葉とともに触手が征士のペニスを捉える。
これまでの愛撫にも反応を見せなかったそれは、直接の刺激を受けて質量を増し始める。
「当麻ぁっ…よせ…こんな…っ」
「こんなって何だよ。全身を撫でられて舐められて、女みたいによがる気分はどうだ?」
女みたいに…当麻は自分との行為に、いつもそんなことを感じているのだろうか。
受けたショックは脇腹や内股への刺激ですぐにうやむやになる。
触手のもたらす刺激は、愛撫されることに慣れない征士にとって、正直快感であるのか不快であるのか判断しかねるところだ。
わからないが浮かされる。
息が上がる。
そしてペニスへの刺激は確実に快を生み、身体中の血が熱くそこに集まるのがわかる。
「………ぅ………っ」
征士は口からこぼれ出てきそうになる何かを、唇を固く閉ざすことで懸命にこらえる。
当麻はまた指先で触手に刺激を送る。
「…ぅぅっ」
「我慢するなよ、征士。いい声、聞かせろよ」
単調な動きでペニスを刺激していた触手が、妖しくくねる。
チュルチュルと吸い上げるような音が立つ。
「…やめ…っ」
征士の屹立から離れたり、またまとわりついたりしながら触手はうごめく。
触手の滴りと、いきり立った先端からこぼれる透明な征士の粘液が混ざっていく。
「俺の手じゃなくても、そんなになるんだな」
口元だけで笑いながら、当麻は足を組む。
「…なん…だ…と…?」
「俺のナカとどっちがイイ?」
「ふざけるな…当麻、やめ、ろ…っ」
「俺とソレ、どっちがイイかって聞いてるんだ、征士」
当麻はイライラと、もう一度脚を組み替える。
「馬鹿な…っ」
「質問に答えろよ」
「ぅ…あぁっ」
当麻が傍の触手をつかんだ手に力を入れた瞬間、征士のペニスがビクビクと波打ち、白く濁った精液を吐き出した。
「……へえ、触手に弄られるだけでイけるわけだ」
当麻は青い透明なソファから立ち上がる。
そしてピチャピチャと水音を立てながら、征士に歩み寄る。
まだ宙に浮いたままの征士の、濡れて額に張り付いた金の髪を撫でる。
「俺でしかイケないとか、嘘なんだ?」
荒い息を吐きながら、征士は返事をしない。
「まったく…俺に巻きついていた時には、もっとグロテスクなものだったのにな」
触手は、ゆっくりと征士を水のたまった床に下ろす。
そして脱力し、動かなくなった。
当麻はその青く透明なものを、もう一度撫でる。
征士は思い出す。
当麻を襲った触手の化け物は、それはおぞましいもので。
征士が剣で断ち切って成敗したはずだった。
これはあれと同じものだったのか。
現実なのか、夢なのか。
「征士に触れると化け物すら美しくなるんだな。…ずるいよ」
そう言うと当麻は征士の傍らに膝をつき、唇に触れるだけの優しいキスを落とす。
征士を見つめる瞳は、もういつも通りの征士の愛する当麻だ。
「私に抱かれるのは苦痛か?」
征士は当麻を見つめ返す。
「いいや」
当麻は膝立ちになったまま、ベルトのバックルをカチャカチャと外す。
そして、はいているものを片脚だけ脱ぐと、横たわった征士にまたがる。
「もう一回、俺でイッて?」
当麻は後ろ手に回した左の手で、征士のものをもう一度立ち上がらせる。
「そうしてくれ」
一つになればわかる。
欲しいのはこの人なのだと。
「は…ぁああっ」
自分と身体を重ね、全身をわななかせる当麻を見上げながら、征士は思う。
透明な青こそ当麻なのではないかと。
当麻を襲ったおどろおどろしい化け物こそが、おのれの欲望だったのではないかと。
「いい声だ」
「また言ってるな…ぁっ」
「悪いか?」
「悪くないに、決まってるだろ」
妖しく微笑む当麻を突き上げる。
もっともっと、声が聞きたくて。
水音と二人の息遣いが響く、青い世界。
現実なのか。
夢なのか。
おわり
**********
間に合った…801の日!
こんなもんですー。
ぜいはあ。
ネタ提供kさん、ありがとうねー!
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