たいいくのひ
since November 22th 2012
【042】伊達部長 てっちりの夜
このお話はobachamm様の素敵征当小説サイト「blueーdragon」の伊達部長というお話の続きです。
パラレルですので設定など、そちらを読んでからでないとわかりません。
お話の元になった素敵なイラストもありますよー。
そちらを読後に、こちらをお楽しみくださいませ。
なおパスワードがありますので、どーしてもわからないときは、この下にあるweb拍手からkcoまでお問い合わせください。
**********
「おじゃましまーす。あれ? もういい匂いがしてる。部長、食事の支度をしてくれる彼女がいたんですか。 聞いてませんよ?」
「彼女などいない。家政婦だ。今日は客人があるからと、時間で準備をして帰るようにと伝えてあったのだ」
「彼女がいないって……そんなに威張っていうことじゃないでしょう」
「お前はいるのか」
「いませんよ、残念ながら。毎日家と会社の往復だけの生活だし、会社じゃ誰も見向きもしてくれないですからね。学生時代はそこそこモテたのになぁ」
「誰も自分の身が可愛いだろうからな…」
「ん? ……わ! 本当に鍋の準備ができてる! 豪華だなぁ。それに広くていいマンションですね」
「いつでも二人暮らしができるぞ、羽柴」
「ほんとですね、部長。本当に早くお相手見つけた方がいいですよ。もうそんなに若くないんですから」
「相手はもう……ん? 聞き捨てならんな。私はまだ若い。お前だってそんなに変わらないだろう」
「変わりますよ。後輩なんですから。数年の差は大きいですよ。…あれ? 部長。箸や小鉢が二人分しかありませんね。社長と二人のはずだったんですか。俺、来てよかったんですか?」
「ん? ああ。伸は急な仕事が入って来られるかどうかわからんと言っていたからな」
「そうなんですか。…じゃあ俺も帰ろうかな」
「なぜだ」
「なんだか、ここにいては危ないって、そういう天の声が聞こえるんです」
「お前が帰ってしまったら、この大量の食材はどうすればいいというのだ。食べてから帰ってくれなくては困る」
「うーん、そうか…。まぁ、それもそうですね。社長ももしかしたら仕事を終わらせて来られるかもしれませんしね」
「羽柴は…私と二人きりはイヤか?」
「だから部長! どうしてそんなに近いんですか。そして手を握らないでください!」
「……いつものことだろう。いい加減に慣れろ」
「慣れたかないですよ。なんなんですか。いつもいつもこの過剰なスキンシップは。ほんと、わけがわからん」
「まぁいい。とにかく食べよう」
「部長」
「なんだ」
「もう言いたかないんですけどね。普通こういう時は、テーブルを挟んで向かい合わせに座りませんか」
「そうか?」
「どうしてこんなにくっついて隣にいるんですか。俺たちは付き合い始めのバカップルじゃないんですよ?」
「いいじゃないか」
「不自然です! 気になって美味しく食べられません!」
「まったくうるさい男だな…」
「やれやれ。これでゆっくり食べられます。てっちりなんて贅沢だなぁ。獺祭の大吟もあるんですよね?」
「ああ、あるぞ。遠慮なく存分に食って飲むといい」
「太っ腹ですね。今日は何かいい日なんですか?」
「まあな」
「いただきまーす!」
*
*
*
「あー腹一杯! よく飲んらぁ。美味かったれす。ほとんろ俺が食っちゃいましたよ。社長は間に合いませんれしたねぇ」
「あ、ああ……そうだな」
「部長はあれらけ飲んでもぜんっぜん変わらないんれすねぇ。俺なんかもう、ちょっとやばいかも」
「途中からどさくさに紛れて色々と飲ませたからな」
「はい?」
「いや、何でもない」
「さぁ俺、そろそろ帰ります。ここ最寄り駅ってろこれすか? タクシー呼んら方がいいのかな」
「食うだけ食ったら、すぐに帰るつもりか。少しは恩を返していったらどうだ」
「恩返し? 何して欲しいんれすか?」
「散々食ったんだ。今度は私に食われろ」
「は? なんれすかそれー。注文の多い料理店れすか部長ぉ。ははははは。面白いこと言うなぁ」
「そうだな。まず部長と呼ぶのをやめてもらおう。社外で二人きりの時は征士と呼べ」
「呼べないれすよ。上司なんれすから」
「私も二人の時は当麻と呼ばせてもらう」
「そりゃー別に、二人の時じゃなくてもいいんじゃないれすかぁ? 上司が部下をなんて呼んらって…ああ…眠い…」
「こら、当麻、寝るんじゃない。お前、今日が何の日だかわかってるのか」
「今日って六月九日れすよね? 何の日なんれすか?」
「私の誕生日だ」
「そうなんれすか? おめれとーございます。俺、プレゼントも何も用意してないや」
「心配はいらん。これからもらう」
「わ、なんれすか部長! らきかかえないれくらさいよ! ろこへ行く気れすか」
「ベッドまでと思ったが、流石に重いな。ソファで我慢だ」
「うわ! 痛ぇ。打ち捨てないれくらさいよ。乱暴らなぁ。わ、ちょっと! 部長!」
「征士と呼べと言っているだろう、当麻」
「らから呼べないって言っているれしょう。そんなのおかしいれすよ! 重い! ちょっとろいてー!」
「往生際の悪い男だな。まぁそれがまたイイんだが」
「…………」
「…当麻?」
「……………」
「……さっきまで叫んでいたのに、もう眠っている…大した特技だ。しかしこの無防備な寝顔もたまらんな」
「………………」
「さっきも言ったが、今日は私の誕生日なのだぞ。それなのにこれだけご馳走してやったのだ。キスくらいもらっても罰は当たらんだろう」
「…………………」
「いや、今夜はよしておくか。あのとぼけた反応が返ってこないのも、いささか興ざめだからな。この続きは意識のある時に。この寝顔を肴に、もう少し飲むとするか」
「……………………」
「二人きりで過ごす誕生日に乾杯!」
おわり
***********
すみませんすみませんこんなんで!
色々とやっちゃってもいいかなぁとか、社長との絡みとか、エロエロと考えましたが今回はお預けで(笑)。
伊達部長はもう少し焦らされていいのではないかと思うのですよー。
で、ランチ編に続きますー。
パラレルですので設定など、そちらを読んでからでないとわかりません。
お話の元になった素敵なイラストもありますよー。
そちらを読後に、こちらをお楽しみくださいませ。
なおパスワードがありますので、どーしてもわからないときは、この下にあるweb拍手からkcoまでお問い合わせください。
**********
「おじゃましまーす。あれ? もういい匂いがしてる。部長、食事の支度をしてくれる彼女がいたんですか。 聞いてませんよ?」
「彼女などいない。家政婦だ。今日は客人があるからと、時間で準備をして帰るようにと伝えてあったのだ」
「彼女がいないって……そんなに威張っていうことじゃないでしょう」
「お前はいるのか」
「いませんよ、残念ながら。毎日家と会社の往復だけの生活だし、会社じゃ誰も見向きもしてくれないですからね。学生時代はそこそこモテたのになぁ」
「誰も自分の身が可愛いだろうからな…」
「ん? ……わ! 本当に鍋の準備ができてる! 豪華だなぁ。それに広くていいマンションですね」
「いつでも二人暮らしができるぞ、羽柴」
「ほんとですね、部長。本当に早くお相手見つけた方がいいですよ。もうそんなに若くないんですから」
「相手はもう……ん? 聞き捨てならんな。私はまだ若い。お前だってそんなに変わらないだろう」
「変わりますよ。後輩なんですから。数年の差は大きいですよ。…あれ? 部長。箸や小鉢が二人分しかありませんね。社長と二人のはずだったんですか。俺、来てよかったんですか?」
「ん? ああ。伸は急な仕事が入って来られるかどうかわからんと言っていたからな」
「そうなんですか。…じゃあ俺も帰ろうかな」
「なぜだ」
「なんだか、ここにいては危ないって、そういう天の声が聞こえるんです」
「お前が帰ってしまったら、この大量の食材はどうすればいいというのだ。食べてから帰ってくれなくては困る」
「うーん、そうか…。まぁ、それもそうですね。社長ももしかしたら仕事を終わらせて来られるかもしれませんしね」
「羽柴は…私と二人きりはイヤか?」
「だから部長! どうしてそんなに近いんですか。そして手を握らないでください!」
「……いつものことだろう。いい加減に慣れろ」
「慣れたかないですよ。なんなんですか。いつもいつもこの過剰なスキンシップは。ほんと、わけがわからん」
「まぁいい。とにかく食べよう」
「部長」
「なんだ」
「もう言いたかないんですけどね。普通こういう時は、テーブルを挟んで向かい合わせに座りませんか」
「そうか?」
「どうしてこんなにくっついて隣にいるんですか。俺たちは付き合い始めのバカップルじゃないんですよ?」
「いいじゃないか」
「不自然です! 気になって美味しく食べられません!」
「まったくうるさい男だな…」
「やれやれ。これでゆっくり食べられます。てっちりなんて贅沢だなぁ。獺祭の大吟もあるんですよね?」
「ああ、あるぞ。遠慮なく存分に食って飲むといい」
「太っ腹ですね。今日は何かいい日なんですか?」
「まあな」
「いただきまーす!」
*
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「あー腹一杯! よく飲んらぁ。美味かったれす。ほとんろ俺が食っちゃいましたよ。社長は間に合いませんれしたねぇ」
「あ、ああ……そうだな」
「部長はあれらけ飲んでもぜんっぜん変わらないんれすねぇ。俺なんかもう、ちょっとやばいかも」
「途中からどさくさに紛れて色々と飲ませたからな」
「はい?」
「いや、何でもない」
「さぁ俺、そろそろ帰ります。ここ最寄り駅ってろこれすか? タクシー呼んら方がいいのかな」
「食うだけ食ったら、すぐに帰るつもりか。少しは恩を返していったらどうだ」
「恩返し? 何して欲しいんれすか?」
「散々食ったんだ。今度は私に食われろ」
「は? なんれすかそれー。注文の多い料理店れすか部長ぉ。ははははは。面白いこと言うなぁ」
「そうだな。まず部長と呼ぶのをやめてもらおう。社外で二人きりの時は征士と呼べ」
「呼べないれすよ。上司なんれすから」
「私も二人の時は当麻と呼ばせてもらう」
「そりゃー別に、二人の時じゃなくてもいいんじゃないれすかぁ? 上司が部下をなんて呼んらって…ああ…眠い…」
「こら、当麻、寝るんじゃない。お前、今日が何の日だかわかってるのか」
「今日って六月九日れすよね? 何の日なんれすか?」
「私の誕生日だ」
「そうなんれすか? おめれとーございます。俺、プレゼントも何も用意してないや」
「心配はいらん。これからもらう」
「わ、なんれすか部長! らきかかえないれくらさいよ! ろこへ行く気れすか」
「ベッドまでと思ったが、流石に重いな。ソファで我慢だ」
「うわ! 痛ぇ。打ち捨てないれくらさいよ。乱暴らなぁ。わ、ちょっと! 部長!」
「征士と呼べと言っているだろう、当麻」
「らから呼べないって言っているれしょう。そんなのおかしいれすよ! 重い! ちょっとろいてー!」
「往生際の悪い男だな。まぁそれがまたイイんだが」
「…………」
「…当麻?」
「……………」
「……さっきまで叫んでいたのに、もう眠っている…大した特技だ。しかしこの無防備な寝顔もたまらんな」
「………………」
「さっきも言ったが、今日は私の誕生日なのだぞ。それなのにこれだけご馳走してやったのだ。キスくらいもらっても罰は当たらんだろう」
「…………………」
「いや、今夜はよしておくか。あのとぼけた反応が返ってこないのも、いささか興ざめだからな。この続きは意識のある時に。この寝顔を肴に、もう少し飲むとするか」
「……………………」
「二人きりで過ごす誕生日に乾杯!」
おわり
***********
すみませんすみませんこんなんで!
色々とやっちゃってもいいかなぁとか、社長との絡みとか、エロエロと考えましたが今回はお預けで(笑)。
伊達部長はもう少し焦らされていいのではないかと思うのですよー。
で、ランチ編に続きますー。
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