たいいくのひ

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「結婚しよう」

「寝言は寝てから言え」

「……貴様」

「……なんだよ？」

「私の一世一代のプロポーズを…」

「ん？」

「よりにもよって寝言だと？」

「寝言だろ。何だよ結婚って。俺は男だぞ。お前も男だ。そしてここは日本だ。これ以上何かあんのか？」

「…夢のない男だな」

「何だよ。夢って」

「当麻。結婚とは何だ？」

「 婚姻届に名前書いてハンコついて持ってくとできるヤツだろ？」

「それは手続き上のことであろう。私は、私とお前の生涯を共にする誓いのことを言っているのだ」

「はい？」

「明日は私の誕生日だ。お前と二人の生活も一年が経つ」

「ああ…そういや、そうだな」

「悪くない一年だったと思う。これを機に同棲生活から結婚生活にだな…」

「ああん？」

「なんだ。不満そうだな」

「お前なぁ。一緒に暮らし始めてもう一年だぜ？」

「そうだ」

「新婚時代すら終わったなと、俺は思っているけど？」

「…どういうことだ？」

「一緒になる時のお前の覚悟はそんなもんだったのか？ 今までの一年間はお試し期間だったのか？ 返品しようと思えばするつもりだったのか？」

「……いや、そのようなつもりでは…」

「だいたいなんだよ。悪くないって。悪くないけど良くもないってか？ そんな風に思ってたのかよ」

「…それは言葉のアヤであってだな…」

「生涯をともにする覚悟なんて俺はとっくにしていたつもりだし、お前だってそうなんだとばかり思って…」

「と、当麻？」

「ひどい…ひどいよ…征士…」

「泣いているのか、当麻。そうではないのだ。お前がそのように考えてくれているとは思わずにだな。当麻？ 顔を上げてくれ」

「………嘘泣きでーす」

「………」

「とにかくだな。お前の言う結婚とやらがそういうことなら、俺たちはとっくに結婚してる。今更間抜けなプロポーズなんてしてんじゃねぇよ」

「当麻…」

「んだよ」

「…感動している」

「アホか。恥ずかしいから二度と言わないからな！ 風呂入って寝る！」

「……」

「何をぼけっと突っ立ってんだよ」

「……なんだ？」

「一緒に入るなら早く来いよ！ 待たねぇからな！」

「…当麻」

「なんだよ」

「大丈夫。私たちはまだまだ新婚だ」

「だから寝言は寝てから言えよ！」





おわり


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やはり征士さんの「結婚しよう」から始まる会話でした。
甘いだけっていうか…。
まぁ、ヤオイですから☆