たいいくのひ
since November 22th 2012
【037】ほしいもの
伊達誕ですよ。
**********
「なぁ、征士」
「なんだ?」
「もうすぐお前の誕生日だろう?」
「……ああ、そう言われてみれば、そうだな」
「なんかさぁ、欲しいもんとか、ある?」
「欲しいもの?」
「ああ。誕生日のプレゼントにさ」
「プレゼントか……」
「ああ」
「そうだな。お前が私のために選んでくれるものなら何でも嬉しいが」
「……やっぱりなぁ。そう言うと思った」
「ん?」
「モノを欲しがらないもんなぁ、お前」
「この歳になれば、人にプレゼントされる程度のものは欲しければ自分で買える。欲しくないものはいらないしな」
「そういう奴だよなぁ、お前。……何がいいかなぁ」
「ああ、あれがいいのではないか」
「なんだ?」
「ほら、あれだ。お前にリボンを結んで……」
「……あーゆーのは、一回しかできないネタなの。ていうかすまん、あれは忘れてくれ。若気の至り以外の何物でもない」
「そうか。今ならそのプレゼントも、もっと色々と活用できるのにな」
「あの時だって、そうとう活用されたと思うがな」
「あの時は若かったからな。お前を好きにしていいと言われれば、もうそちらのことしか思いつかず、今思えばずいぶんと惜しいことをした」
「今ならなんなんだよ」
「今なら……そうだな。まず家中の大掃除か。年末の大掃除から半年経つからな。そろそろいい頃だろう」
「げ」
「それからな。平日の昼間にしかできないような諸手続きが溜まっている。有給をとってもらって役所に行ってもらえると助かるな」
「自分で有給取れよ」
「それからまぁ…あれだ」
「あれ?」
「そちらの方面でも、ぜひやってみたいことがある」
「……なんだよ」
「素面では言えん」
「お前と暮らし始めて二十年だぞ。こういっちゃなんだが、色んなこといっぱいやってきたぞ? 今更やってないことなんてないだろう」
「そんなことはない。時代は進んでいる。そちらの方面でも色々とだな……」
「ていうか、やらないから。俺にリボンとか。歳を考えろ、歳を」
「歳は関係ない。むしろ二十歳の男にリボンも四十の男にリボンも、どっちもナイだろう。普通は」
「う……。俺まだ三十九だし」
「欲しいものは他にはない。そうだ。あそこの百均は遅くまで開いていたはずだ。リボンくらい売っているだろう。よし、買いに行くぞ」
「え? いや、おい、待てよ」
「よかったな、当麻。百円で済むぞ。リボンくらいは自分で選ばせてやる。早くしろ」
「百五円だから! ていうか、やらんと言っている! 十万出すから他のものにしてくれー!」
プレゼントにまつわるアホな会話SS。
征当ですー。
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「なぁ、征士」
「なんだ?」
「もうすぐお前の誕生日だろう?」
「……ああ、そう言われてみれば、そうだな」
「なんかさぁ、欲しいもんとか、ある?」
「欲しいもの?」
「ああ。誕生日のプレゼントにさ」
「プレゼントか……」
「ああ」
「そうだな。お前が私のために選んでくれるものなら何でも嬉しいが」
「……やっぱりなぁ。そう言うと思った」
「ん?」
「モノを欲しがらないもんなぁ、お前」
「この歳になれば、人にプレゼントされる程度のものは欲しければ自分で買える。欲しくないものはいらないしな」
「そういう奴だよなぁ、お前。……何がいいかなぁ」
「ああ、あれがいいのではないか」
「なんだ?」
「ほら、あれだ。お前にリボンを結んで……」
「……あーゆーのは、一回しかできないネタなの。ていうかすまん、あれは忘れてくれ。若気の至り以外の何物でもない」
「そうか。今ならそのプレゼントも、もっと色々と活用できるのにな」
「あの時だって、そうとう活用されたと思うがな」
「あの時は若かったからな。お前を好きにしていいと言われれば、もうそちらのことしか思いつかず、今思えばずいぶんと惜しいことをした」
「今ならなんなんだよ」
「今なら……そうだな。まず家中の大掃除か。年末の大掃除から半年経つからな。そろそろいい頃だろう」
「げ」
「それからな。平日の昼間にしかできないような諸手続きが溜まっている。有給をとってもらって役所に行ってもらえると助かるな」
「自分で有給取れよ」
「それからまぁ…あれだ」
「あれ?」
「そちらの方面でも、ぜひやってみたいことがある」
「……なんだよ」
「素面では言えん」
「お前と暮らし始めて二十年だぞ。こういっちゃなんだが、色んなこといっぱいやってきたぞ? 今更やってないことなんてないだろう」
「そんなことはない。時代は進んでいる。そちらの方面でも色々とだな……」
「ていうか、やらないから。俺にリボンとか。歳を考えろ、歳を」
「歳は関係ない。むしろ二十歳の男にリボンも四十の男にリボンも、どっちもナイだろう。普通は」
「う……。俺まだ三十九だし」
「欲しいものは他にはない。そうだ。あそこの百均は遅くまで開いていたはずだ。リボンくらい売っているだろう。よし、買いに行くぞ」
「え? いや、おい、待てよ」
「よかったな、当麻。百円で済むぞ。リボンくらいは自分で選ばせてやる。早くしろ」
「百五円だから! ていうか、やらんと言っている! 十万出すから他のものにしてくれー!」
おわり
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征士さんが欲しいものはいつも当麻。
うふ。
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