たいいくのひ
since November 22th 2012
【038】積極の理由
【R18】
緑青です。
緑青です。
**********
ふと覚醒する。
思考がはっきりと形になる前に、征士のベッドに当麻の重みがかかる。
湯上りの湿った暖かな空気とともに、自分と同じシャンプーの香りが流れてくる。
目を閉じたまま征士が手を伸ばすと、当麻はバスタオルを腰に巻いただけで腰掛けているらしい。
間もなく顔が近づく気配がして、唇が重ねられる。
軽く何度かついばんで離れる。
「…いいか?」
少しかすれた当麻の声。
「どうした?」
珍しいこともあるものだ、と征士は驚く。
「…ダメか?」
「ダメではない。ダメではないが…」
どうかしたのか? と聞こうとして、また唇を塞がれる。
さっきよりも少しだけ深い口づけ。
征士が薄いダウンのケットを持ち上げて、その仕草だけで中に入るように促すと、当麻はするりと征士の隣に入り込む。
バスタオルははらりとベッドの下に取り残される。
何かに駆り立てられるように、当麻の指が征士の寝間着のボタンを上から外していく。
征士がようやく目を開くと、そこには窓から入る月明かりに浮かび上がる当麻の鎖骨から肩にかけて。
一見華奢に見えるが、実は適度に筋肉のついたそこには、昨日征士が刻んだ印がまだうっすらと残っている。
今度は征士から口づける。
応える当麻は、やはりいつもより何割増しかに積極的で。
ついいたずらに情欲を煽られるが、いつもの当麻でないことがやはり気になる。
夕べの当麻とも、また違う。
「で…どうしたのだ?」
「何が?」
ボタンをすべて外し終わった当麻は、征士と寝巻きとの間に手を差し入れてその逞しい背に回し、二人の素肌を密着させる。
湯上りの体温が熱い。
「やけにやる気ではないか。昨日の今日で」
「昨日の今日じゃ、やる気出ないか?」
「そんなことはない」
征士は当麻の腰のあたりに手を伸ばそうとしたが、思い返して頭に手をやると、くしゃっと短い髪に手を入れてかきあげる。
「そんなことはないが」
現れた額に口づける。
「いつもと様子が違うからな。気になるではないか」
「…違うか?」
切羽詰まっている感のあった当麻の声音が少し落ち着く。
征士もひとつ息をつく。
自分のそれとはまったく違うストレートの髪を更にすきあげて、その感触を楽しみながら。
「当麻が自分からこんなに求めてくれることなんて、そうはないだろう」
「そうか? …そんなことないだろ」
心外だという声。
「俺はいつだって…」
言いながら当麻は征士の、すでにいくらか質量を増し始めているそれに指を添わせる。
「お前のことが欲しくてたまらないんだけどな…」
「…やはり何かあったな」
顔色は見えないが、征士がニヤリとしたのが声でわかる。
「何でそうなるんだよ」
当麻は額をコツンと、征士の額に当てた。
「まあいい」
征士はふふと笑うと、いつもと同じように口づける。
より深く、深く。
「仕事が…上手く…いってない」
次に当麻が人の言葉を発したのは丁寧な愛撫ののち、うつ伏せに伏せられた当麻の後ろから征士がすっかり侵入を果たしたとき。
「…月末までに結果を出せないと、…ここ何ヶ月かのみんなの努力がパァだ」
始まったな、と征士は当麻に見えない背後で笑みを浮かべる。
普段からなかなか話さない悩みや愚痴の類をこのタイミングで話し出すことが、当麻には時々ある。
高ぶる気持ちにうやむやに紛らわせようという気なのか。
面と向かっては話しにくいことを、顔を見合わさないこの体勢ならばとのことなのか。
そのことを話す本人は気づいているのだろうか。
思惑がピタリと当たってある種の満足を得た征士は、当麻の中に自身を収めたまま、話の続きを引き出そうと、その動きを緩やかにする。
「それはあれか、春にお前が上手く行くはずないと言っていた話か」
「え?…ああ。そんなこと…言ったっけ」
話しながらゆるゆると、当麻の息は上がっていく。
「ああ、言っていた」
もう数ヶ月も前の、何気ない会話の中のたった一言だったが、征士の頭の隅に何となく引っかかっていた。
当麻の頭脳でシミレーションすれば、絶対に上手くはいかないだろうと思われた研究計画。
それでも組織の中ではやらなくてはならないときがある。
その理不尽を同じ勤め人の征士はよくわかる。
征士はリズムと角度を変える。
「ん………あ…っ」
当麻の唇から人語でない音がまたこぼれる。
「駄目元でも…頑張ったのだな」
打ち込みながら腕を伸ばし、また当麻の髪をクシャクシャとかきまぜる。
「ん………っ」
「頑張っただけに、悔しいな」
「ん……んん」
「それは返事なのか、喘いでいるのかどっちだ」
「へ…んじ……だっ」
征士は更に角度を変えていく。
当麻がその奥底をさらけ出せるように。
「んぁあっ……」
当麻はもう獣の言葉しか話さない。
そんな泣き言ひとつ言うのに手続きのかかることだと、征士はあきれる。
あきれながら、そんな当麻の不器用さが愛しくて仕方がない。
なかなか上手くはいかない人生の、その慰めとして当麻が自分を求めてくれることが嬉しい。
それではしばし浮世の憂さを忘れさせてやろうではないか、と征士は丁寧に大胆に、当麻を陥としていく。
おわり
**********
伊達誕まであと少し!
征士さんおめでとう!
襲い受け当麻をプレゼントだー。
ふと覚醒する。
思考がはっきりと形になる前に、征士のベッドに当麻の重みがかかる。
湯上りの湿った暖かな空気とともに、自分と同じシャンプーの香りが流れてくる。
目を閉じたまま征士が手を伸ばすと、当麻はバスタオルを腰に巻いただけで腰掛けているらしい。
間もなく顔が近づく気配がして、唇が重ねられる。
軽く何度かついばんで離れる。
「…いいか?」
少しかすれた当麻の声。
「どうした?」
珍しいこともあるものだ、と征士は驚く。
「…ダメか?」
「ダメではない。ダメではないが…」
どうかしたのか? と聞こうとして、また唇を塞がれる。
さっきよりも少しだけ深い口づけ。
征士が薄いダウンのケットを持ち上げて、その仕草だけで中に入るように促すと、当麻はするりと征士の隣に入り込む。
バスタオルははらりとベッドの下に取り残される。
何かに駆り立てられるように、当麻の指が征士の寝間着のボタンを上から外していく。
征士がようやく目を開くと、そこには窓から入る月明かりに浮かび上がる当麻の鎖骨から肩にかけて。
一見華奢に見えるが、実は適度に筋肉のついたそこには、昨日征士が刻んだ印がまだうっすらと残っている。
今度は征士から口づける。
応える当麻は、やはりいつもより何割増しかに積極的で。
ついいたずらに情欲を煽られるが、いつもの当麻でないことがやはり気になる。
夕べの当麻とも、また違う。
「で…どうしたのだ?」
「何が?」
ボタンをすべて外し終わった当麻は、征士と寝巻きとの間に手を差し入れてその逞しい背に回し、二人の素肌を密着させる。
湯上りの体温が熱い。
「やけにやる気ではないか。昨日の今日で」
「昨日の今日じゃ、やる気出ないか?」
「そんなことはない」
征士は当麻の腰のあたりに手を伸ばそうとしたが、思い返して頭に手をやると、くしゃっと短い髪に手を入れてかきあげる。
「そんなことはないが」
現れた額に口づける。
「いつもと様子が違うからな。気になるではないか」
「…違うか?」
切羽詰まっている感のあった当麻の声音が少し落ち着く。
征士もひとつ息をつく。
自分のそれとはまったく違うストレートの髪を更にすきあげて、その感触を楽しみながら。
「当麻が自分からこんなに求めてくれることなんて、そうはないだろう」
「そうか? …そんなことないだろ」
心外だという声。
「俺はいつだって…」
言いながら当麻は征士の、すでにいくらか質量を増し始めているそれに指を添わせる。
「お前のことが欲しくてたまらないんだけどな…」
「…やはり何かあったな」
顔色は見えないが、征士がニヤリとしたのが声でわかる。
「何でそうなるんだよ」
当麻は額をコツンと、征士の額に当てた。
「まあいい」
征士はふふと笑うと、いつもと同じように口づける。
より深く、深く。
「仕事が…上手く…いってない」
次に当麻が人の言葉を発したのは丁寧な愛撫ののち、うつ伏せに伏せられた当麻の後ろから征士がすっかり侵入を果たしたとき。
「…月末までに結果を出せないと、…ここ何ヶ月かのみんなの努力がパァだ」
始まったな、と征士は当麻に見えない背後で笑みを浮かべる。
普段からなかなか話さない悩みや愚痴の類をこのタイミングで話し出すことが、当麻には時々ある。
高ぶる気持ちにうやむやに紛らわせようという気なのか。
面と向かっては話しにくいことを、顔を見合わさないこの体勢ならばとのことなのか。
そのことを話す本人は気づいているのだろうか。
思惑がピタリと当たってある種の満足を得た征士は、当麻の中に自身を収めたまま、話の続きを引き出そうと、その動きを緩やかにする。
「それはあれか、春にお前が上手く行くはずないと言っていた話か」
「え?…ああ。そんなこと…言ったっけ」
話しながらゆるゆると、当麻の息は上がっていく。
「ああ、言っていた」
もう数ヶ月も前の、何気ない会話の中のたった一言だったが、征士の頭の隅に何となく引っかかっていた。
当麻の頭脳でシミレーションすれば、絶対に上手くはいかないだろうと思われた研究計画。
それでも組織の中ではやらなくてはならないときがある。
その理不尽を同じ勤め人の征士はよくわかる。
征士はリズムと角度を変える。
「ん………あ…っ」
当麻の唇から人語でない音がまたこぼれる。
「駄目元でも…頑張ったのだな」
打ち込みながら腕を伸ばし、また当麻の髪をクシャクシャとかきまぜる。
「ん………っ」
「頑張っただけに、悔しいな」
「ん……んん」
「それは返事なのか、喘いでいるのかどっちだ」
「へ…んじ……だっ」
征士は更に角度を変えていく。
当麻がその奥底をさらけ出せるように。
「んぁあっ……」
当麻はもう獣の言葉しか話さない。
そんな泣き言ひとつ言うのに手続きのかかることだと、征士はあきれる。
あきれながら、そんな当麻の不器用さが愛しくて仕方がない。
なかなか上手くはいかない人生の、その慰めとして当麻が自分を求めてくれることが嬉しい。
それではしばし浮世の憂さを忘れさせてやろうではないか、と征士は丁寧に大胆に、当麻を陥としていく。
おわり
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伊達誕まであと少し!
征士さんおめでとう!
襲い受け当麻をプレゼントだー。
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