たいいくのひ
since November 22th 2012
【032】どんな人?
緑青。
相変わらずの短い会話SSです。
**********
「全く、理解に苦しむ」
「何があったんだ? 今日は」
「今日は、ということでもないんだが。なぜ人は自分の連れ合いのことを悪く言いたがるのだろうな」
「ん?」
「日本人のクセなのだろうか」
「たしかに。身内のことは悪く言っとくっていう習慣はあるな。日本人は特にそういう面があるのかもしれない」
「身内か…」
「お前だって実家の皆さんのことを俺に、こんなに素晴らしい人たちだなんて言わないだろう?」
「あるがままのことを話しているつもりだ。ほめちぎりはしないが、必要以上に貶めることもしない」
「一般的には親兄弟よりも、奥さんのことは特に酷く言う傾向なのかもしれないな」
「あれがどこまでが本心なのか、はかりかねるのだ。そんなに不満だらけなら一緒にいなければ良いと思うのだが」
「そうもいかないだろう。…ま、みんな言うほど嫌ってるわけじゃないんじゃねえの?」
「そうなのか」
「たぶんな」
「とにかくだいたい家族の話が始まると連れ合いに対する愚痴だ。雑談も仕事のうちだろうと、声をかけられれば私も参加しようと努力しているのだが、そのような話題になると困るのだ」
「なんでだよ」
「私の連れ合いは非の打ちどころがないからな。一緒になって愚痴をこぼすことができない」
「……その割には毎日、俺に対する小言が多いのではないですか?」
「そうか?」
「お前さあ、職場で俺のこと話したりするわけ?」
「聞かれたら差し障りのない範囲で答えるくらいだが。奥さんはどんな人かと聞かれれば、それはもう最高に可愛らしい人だと…」
「あ、そう…。それって相手はドン引きなんじゃねぇ?」
「いや、どんなところが可愛いのかとか、色々と聞かれるぞ? そう聞かれれば、例えば…」
「いや、いいや。あんまり聞きたくない」
「そうか。ただし奥さんではない、男だ、と念を押すがな」
「げ。…お前それ、ほんとに差し障りないのかよ」
「ない」
「そうですか…」
「しかし社内ではもう訂正する必要もなくなってきたな」
「知れ渡ってんのかよ…」
「いけないか?」
「や、お前がいいなら、別にいいけどね…」
「よく言われるぞ。そのパートナーに会ってみたいと」
「だろうな。俺だってそんな話を聞いたら会ってみたいと思うよ」
「減るからダメだと言ってある」
「減らねーよ」
「会わせて惚れられたら困るからな」
「…その気持ちはありがたいけど、俺はお前の頭の中の、そのお花畑加減が心配だよ」
「お前はどうなのだ。職場で私の悪口を言うのか?」
「うーん、どうかな。…言わないかな」
「そうだろうな。非の打ちどころがないからな」
「ははは。自分で言ってら」
おわり
**********
こういう伊達さんも好きです。
もちょっとクールでもいいんですけどね。
脳内の当麻はどんなことになっているのか(笑)
当麻は幸せだなぁ(≧∇≦)。
相変わらずの短い会話SSです。
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「全く、理解に苦しむ」
「何があったんだ? 今日は」
「今日は、ということでもないんだが。なぜ人は自分の連れ合いのことを悪く言いたがるのだろうな」
「ん?」
「日本人のクセなのだろうか」
「たしかに。身内のことは悪く言っとくっていう習慣はあるな。日本人は特にそういう面があるのかもしれない」
「身内か…」
「お前だって実家の皆さんのことを俺に、こんなに素晴らしい人たちだなんて言わないだろう?」
「あるがままのことを話しているつもりだ。ほめちぎりはしないが、必要以上に貶めることもしない」
「一般的には親兄弟よりも、奥さんのことは特に酷く言う傾向なのかもしれないな」
「あれがどこまでが本心なのか、はかりかねるのだ。そんなに不満だらけなら一緒にいなければ良いと思うのだが」
「そうもいかないだろう。…ま、みんな言うほど嫌ってるわけじゃないんじゃねえの?」
「そうなのか」
「たぶんな」
「とにかくだいたい家族の話が始まると連れ合いに対する愚痴だ。雑談も仕事のうちだろうと、声をかけられれば私も参加しようと努力しているのだが、そのような話題になると困るのだ」
「なんでだよ」
「私の連れ合いは非の打ちどころがないからな。一緒になって愚痴をこぼすことができない」
「……その割には毎日、俺に対する小言が多いのではないですか?」
「そうか?」
「お前さあ、職場で俺のこと話したりするわけ?」
「聞かれたら差し障りのない範囲で答えるくらいだが。奥さんはどんな人かと聞かれれば、それはもう最高に可愛らしい人だと…」
「あ、そう…。それって相手はドン引きなんじゃねぇ?」
「いや、どんなところが可愛いのかとか、色々と聞かれるぞ? そう聞かれれば、例えば…」
「いや、いいや。あんまり聞きたくない」
「そうか。ただし奥さんではない、男だ、と念を押すがな」
「げ。…お前それ、ほんとに差し障りないのかよ」
「ない」
「そうですか…」
「しかし社内ではもう訂正する必要もなくなってきたな」
「知れ渡ってんのかよ…」
「いけないか?」
「や、お前がいいなら、別にいいけどね…」
「よく言われるぞ。そのパートナーに会ってみたいと」
「だろうな。俺だってそんな話を聞いたら会ってみたいと思うよ」
「減るからダメだと言ってある」
「減らねーよ」
「会わせて惚れられたら困るからな」
「…その気持ちはありがたいけど、俺はお前の頭の中の、そのお花畑加減が心配だよ」
「お前はどうなのだ。職場で私の悪口を言うのか?」
「うーん、どうかな。…言わないかな」
「そうだろうな。非の打ちどころがないからな」
「ははは。自分で言ってら」
おわり
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こういう伊達さんも好きです。
もちょっとクールでもいいんですけどね。
脳内の当麻はどんなことになっているのか(笑)
当麻は幸せだなぁ(≧∇≦)。
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