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【024】silent early morning

【R18】

青受けなことだけは確かです。
それだけでいいのという方だけ先にお進みください。
伸…誕……?


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もう一度だけ。
征士以外との絡みアリです。
ご注意を!




***********


ふと胸の辺りに触れてきた指先の感触。
当麻は夢の底から揺り戻される。

…征士か…。

背中にピタリとついて腕を回してくる人物は毎晩同じベッドで眠る恋人だろうと、当麻の脳は判断する。
よくある夜中の戯れかと、その指の動きに応えようか、それとも無視を決めてもう一度夢に潜り込もうか、ぼんやりした意識の中で考える。
結論が出ないまま、また夢の底へと落ちていく。

いたずらな指先は当麻の胸の尖りを弄びはじめる。
そしてもう一方の手指が、いつも恋人と繋がる役目を持たされた部分にそっと当てられる。

一番敏感な部分に触れられなくても、それだけで当麻の身体はピクン、と波打つ。
夢の底への道すがらで意識がグッと掴まれ、浮上させられる。
不快と、快。
更に乳首を指の腹でそっと撫でられて、それは快へと簡単に転がる。

「ぁっ…」

喉から甘い小さな音が発せられ、それによってまた意識が一段上に覚醒させられる。

薄く目を開けて、またすぐに閉じる。
完全に覚醒してしまわないように。
もう少しまどろみながら恋人の指を楽しもうと決め込む。
外は薄暗い。
朝だが、まだ随分と早いようだ。

そこで初めて気づく違和感。
身体の下に感じるのは、いつも恋人と夜を過ごすベッドの感触では、ない。
毛足の長いカーペットか何か…。
そしてその下に硬い床の感触。

ここはどこだ…?
なんでこんなところで寝てるんだったっけ?
急に耳に入る征士のものではない寝息といびきの間のような呼吸音。

他に誰かいる…?
背筋に一瞬冷たい感覚が流れ、当麻の意識は一気に目覚めの水際まで覚醒する。

思い出した。
ここは柳生邸のリビング。
久々に集まった仲間たち。
昨夜の宴会の最中、秀がその場で眠ってしまい、なんとなく皆で付き合って雑魚寝になったのだ。

当麻の耳に届いたのはローテーブルの向こうで寝ている秀の寝息だ。
意識をそこに集中させれば遼の気配も伝わってくる。

指がまた乳首にふんわりと愛撫する。
刺激で身体が跳ねると、そのほんの少しの動きでも、衣擦れの音が響く。

まだ鳥のさえずりも聞こえない、静かな森の中の一軒家だ。
些細な物音も耳を刺激する。

(ヤメろよ、征士…)

下部に当てられていた方の指が、つぷん、と中に侵入する。

「…んっ」

いつどこに用意しておいたものだか、その指先にはいつもの潤滑剤が、いつもよりもたっぷりとつけられていて。
意識ほどは覚醒しきっていない当麻の身体はいつものように反応しはじめる。

(ヤメろってば)

小さな声を出すことさえはばかられる。
胸に置かれた手をどかそうと自分の手を近づけると、その手はひらりさらりと飛びのいて下腹部へと向かう。

当麻が眠っているうちに、もうベルトは外され、ジーンズも下着も腿まで下げられていた。
そして当麻自身も持ち主の意思とは連動せず、もう恋人との接触を待ちわびている。
当麻は恋人の手際の良さと、自分自身の節操のなさに心の中で舌打ちする。
当麻の中に入り込んだ指が敏感な壁を刺激する。

「ん…っ」

周りに眠る仲間たちのことも気になって余裕がない。
自分の中に深く差し込まれかき乱す指の感触も動きも、いつもとは少し違って感じられる。
唇から漏れ出そうになる音を封じ込めようとする努力で精一杯になる。
しかしそれすらも上手くはいかない。

「はぁぁ…っ、んん!」

ズルッと指が引き抜かれ、その刺激で当麻はその身体を弓なりにしならせる。
間髪入れずに指とは違う熱いものの先がそこに当てられる。
いつもなら当麻をうかがいながら少しずつ優しく入ってくるはずのそれは、迷いなく一気にに当麻を貫いた。

「んぁあっ………」

思わずあがってしまった甘い声に、首の下から差し込まれた手が被せられる。

当麻の口を塞いだ手。
征士の指より細く、手のひらが薄い。
体温が少しだけ低い。
そして後ろから今まさに体内に押し込まれたものの質量も、明らかに征士のそれとは違っていた。

「…!??」

「…静かに。征士に聞こえちゃうよ?」

耳元に囁かれる声。
伸?

「……!!!」

当麻は声にならない悲鳴をあげる。

当麻の中に深く入ったものは、そのまま大きくゆっくりと動かされる。
当麻自身に添えられた手指もゆるゆると刺激をはじめる。

「……っ……ぅ…あっ」

物音をたてれば仲間を起こしてしまう。
こんな姿を見せるわけにはいかない。
刺し貫かれ、敏感なところを手中に収められて逃げ出すこともできない。

今まで征士だと信じて疑わなかった迂闊のせいで、身体は散々に熟れて高まってしまっている。

「すぐに終わるからさ。キミも楽しんだ方がいいと思うよ」

そう囁かれる声さえ仲間に聞かれるのではないかとヒヤリとする。
秀や遼だけじゃない。
征士だっているはずだ。

…やられた。

戦いが終わってしばらく、伸は定期的に煩悩郷に通っていた。
那唖挫のところに治りきらない傷の手当に行っているのだと、仲間たちはそう聞いていた。

しかし実際のところ、伸は那唖挫に抱かれに行っていたのだ。

征士と当麻が恋人関係となり、征士が当麻を抱いているのだと知った伸は、当麻だけにそのことを話した。

どういういきさつで好敵手だった二人がそういう関係になったのかは聞かないままだ。

男であるのに、男に抱かれている。
同類相哀れむ的な側面も、恐らくはあるのかもしれない。
二人だけの内緒話。
それは二人の密かな楽しみのようにもなっていた。

「ふふ…たまにはさ、僕だってやってみたいんだ。『こっち側』をね」

浮気とか、そんな大袈裟なものじゃない。
単なる好奇心。
それに加えて、いたずら心。

「………っ」

言ってやりたいことは山ほど浮かぶが、分が悪すぎる。
当麻は言葉を発することはおろか、身動きすることすらできない。

「キミが暴れたら、僕が大声をだすからね」

受け止める側を経験しているからだろう。
身体の中のどこをどうこすりあげられると、より深い快感を与えられるかがわかっている。

「ここ…気持ちイイよね…」

「…くっ………うっ」

どう歯を食いしばり、唇を固く閉ざしても、声が漏れてしまう。
後ろから捉えられているため捕まるところがない当麻の手は、カーペットの床をひっかく。

「…あっ…んんっ」

征士はどの位置にいるんだろうと上がる息を必死に抑えながら目を開くが、揺れる視界の中には秀の背中と遼の足しか見えない。

二人は幸いなことにまだまだ眠りは深そうだ。
しかし征士はどこにいるのかもわからない。

こんなところを見られたら…。

「ここは? …どう?」

伸の責めは続く。

「は…ぁんっ……早く…終わ…れ!……っ」

当麻はうつむいて、小さく鋭い声を伸に投げかける。

「へぇ。早くイキたいってこと?」

「……んんっ」

伸はわざと耳元で息を吹きかけるように囁く。
当麻はその刺激にも敏感に中をひくつかせ、意地悪な侵入者を喜ばせてしまう。

当麻はせめて当麻自身にかかる伸の手を外そうと指をかける。

「あ、ごめんごめん。こっちが物足りなかった?」

が、逆に伸に手を取られて導かれ、自身を握らされてその上からしっかりと伸に握りこまれる。
自分の手によって、上下に刺激を送り込ませられる。

「…ん…やっ」

恥ずかしさが快感に拍車をかける。

「…ん…はぁあっ」

半開きになった唇からは絶えず甘い吐息が漏れてしまう。
身体にはもうまったく力が入らない。

「そんなに気持ちイイんだぁ。僕ってこっち側の才能もあるかもしれないね? 当麻」

「ふ…んっ あっ …ちょっと……黙…れっ」

しかしこんな状況でも、なぜか当麻は伸が憎いとは思えない。
伸は当麻と征士の関係を壊そうとしているわけではない。
まして本気で当麻を愛しているわけでもない。
もちろん憎からず思ってはいるのだろうけれど。
これはあくまでもイタズラなのだ。
いつも当麻をからかって遊ぶ伸の、遊びの延長。

「…ぁ…っ…ぁあっ」

だからこそむかっ腹は立つ。
伸にも、こんなに反応してしまう自分にも。

でも、こんなことをするなんて初めてだ。
最近は煩悩郷に行っている様子もあまりないし、ちょっとさみしかったりするのだろうか…。

「イカせてって、言ってごらん?」

笑いを含んだ声が耳にまたかかる。

「……っ」

「言ったら終わりにしてあげるよ」

ふざけんな!!
当麻は慌てて心の中の前言を撤回する。

「……っ」

拒絶の代わりに、カーペットに額を擦り付けるように首を横に振る。

「ふうん。 じゃあ征士が起きるまで、このままでいるんだね?」

「きたねぇ…ぞ、伸!…んんっ」

「ほら、あんまり声を出すと、征士に聞こえちゃうよ」

当麻はまた、征士がどこにいるのか確認しようと首をもたげる。

「征士は僕の後ろにいるよ。キミからは見えない」

当麻の背中に一瞬緊張が走る。
そこを意地悪に突き上げられる。
堪らず当麻の喉から甘い声が転がり出る。

「んは…ぁんっ」

「だから聞こえちゃうってば。もしかして…見て欲しいの? 」

「本当に…怒るぞっ…伸…んぁっ」

こんなところを征士に見られてみろ。
お前、殺されるぞ。
…いや、どうだろう?
殺されるの、俺だったりして…。

「ほらほら。言ったら終わりにするって言ってるだろ? 早く言っちゃえば?」

「う…やだ…あっ…」

「強情だなぁ。ま、いいか。征士起こしてみよっか」

「ちょ…待て! なにすんだ…あっ」

「じゃあ、言って?」

当麻からは見えないが、伸は極上の笑みはその声音で明らかだ。

「くそったれ…っ……イカセろよ…」

「そんな言葉遣いじゃダメ」

「ふ…ざけんな…ぁっ」

「せーいーじーー」

「やっ…あ、ダメ!い… イカせて…っ…あ、ぁんっ、ああっ」

「…イイ子だね。それくらいで許してやるよ」

伸は透明な粘液で濡れそぼった高まりを、当麻の指ごと強く擦りあげると同時に、自身も当麻の中の一番反応のいいところに打ち込んだ。

「ぁあっ…あ!」

当麻が伸の手の中に。

「………!!」

伸は当麻の中に。
同時に放った。


一呼吸おいて。
伸が当麻の身体から離れる。
肩で息をする当麻が、朦朧とする意識に鞭打ってジーンズを急いで上げながら起き上がると、伸の後ろにも征士の姿はない。

「え?」

ぽかんとする当麻を見て、同じように着衣を整えながら伸が笑う。

「征士は二階に寝に行ったんだよ。昨日のうちにね」

「なんだと?」

「バカだな、当麻。こんなことしてるの見つかったら、僕が征士に殺されちゃうだろ? 昨日の酒の中に一服盛っておいたんだ。征士は二階で。秀と遼も、あと一時間は起きない」

「…睡眠薬?」

「那唖挫が調合した薬だよ。大丈夫。副作用ない、いい薬らしいから」

一旦起き上がった当麻だったが、大きく息をついて、またカーペットにひっくり返った。

「ちっくしょーー!!」

やっと大きな声が出せた。
澄ました顔でソファーに腰掛ける伸を睨む。

「そんなに睨むなよ。当麻とじゃなきゃ僕がタチを試せる機会なんてないもの」

「だからって、こんな風になぁ!」

当麻は寝返りをうち、頭をもたげるとまた伸を睨む。

「こんな風にって、頼み方によってはOKなわけ?」

伸は反省する素ぶりもない。

「そんなわけあるか!」

「だろう? じゃあこんな風にするより、仕方ないじゃないか」

「ふざけんなよ!?  俺はこれから征士にどんな顔して会えばいいんだよ?」

「当麻、征士に言うつもり?」

「言えるか!」

「ふふふ。だよねぇ。これは僕とキミとの秘密。あーまた当麻と秘密ができちゃったなあ」

「ちくしょう、てめぇほんっと覚えとけよ!」

「やだなぁ、当麻。こんなに楽しいこと、僕は絶対忘れないよ」

「くそったれ!」

頭を抱える当麻の肩をぽんっとたたいて、伸は朝食を作るためにキッチンに向かう。

「当麻、可愛かったよ。またやろうね」

当麻は落ちていたクッションを伸の背中に投げつけた。
振り向きもしないで首を傾げてそれを避けると、伸はキッチンへ消えた。
ごきげんで鼻歌を歌いながら。




おわり

***********



あーあー。
何でもアリも極まったなー。
百合は浮気に入らないんです。
征当なんです(泣笑)。
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