たいいくのひ
since November 22th 2012
【023】炊飯器で作る甘くないチョレートケーキ☆
ホワイトデーに当麻が伸とチョコケーキを作ります。
でも征当。
**********
「バレンタインのお返しって当麻キミ、チョコレートをもらったわけ? 征士に」
「…ああ」
「なんで?」
「なんでって?」
「だってキミたちってさあ…」
「…なんだよ」
「…いや、反対なんじゃないかなぁと思ったから。あ、これ湯煎ね。チョコとバター」
「かき混ぜてればいいのか?」
「うん。溶けるまでね」
「俺が征士にあげる方だろってか?」
「…うん、まあ、そう」
「…くれたんだから、しょうがねぇだろ」
「ふうん。キミからはなにもあげなかったの?」
「…なにもって…」
「あ、なにかあげたの?」
「…いや………なにも…?」
「ふーん…」
「………」
「あれ? そう言えばさあ、なにか手作りでもしようかなって言ってなかった?」
「………」
「そうだよ。バレンタインのお菓子、なんか教えようかって聞いたら、自分でなんとかできるもん作るからって言ってたじゃない?」
「ああ…あれな…」
「…やらなかったの?」
「………」
「なにー? 教えてくれないと、作り方の続きも教えてあげないよ?」
「…なんだよそれ」
「じゃ、どうしたの?」
「あー…」
「やめたの?」
「いや」
「…なんか、失敗でもしたの?」
「失敗っていうか…」
「ん?」
「いやさ、売ってるだろ? ケーキの台とホイップクリームがさ」
「うん」
「それでいいやと思ってたんだけど」
「ああ、いいよね。いいもん選べばそれなりに美味しいし。でも征士には甘すぎるんじゃない?」
「うん。まあ、手作りしたってことで喜んでもらえれば、あとは俺が食べればいいと思ってたんだけどな。あ、こんなもんか?」
「うん。じゃ、メレンゲね」
「泡立てんの?」
「そう。ハンドミキサー持ってこなかったから、人力で頑張って」
「持ってこいよー」
「重たいもん。やだよ。ほら、愛情、愛情」
「ちぇ」
「で?」
「ん?」
「どうしたの? そのケーキ台とホイップを」
「ああ…その…」
「ん?」
「…バレンタインの前の日に、チョコホイップだけ全部舐められた」
「…は? 誰に?」
「…いや、だから征士に」
「ホイップだけ?」
「ああ」
「…甘いだろう?」
「ああ」
「なんでまた…」
「な。…なんでだろうな」
「あ、その辺で砂糖入れて。三分の一ね」
「……こんなもんか?」
「うん。で、また泡立てて」
「腕が痛くなってきたんだけど」
「頑張ってー」
「代わってくれないのかよ」
「なに言ってるの。キミが征士にプレゼントするんでしょう?」
「あー、痛い痛い。手首が」
「じゃ、その辺でまた三分の一ね」
「………」
「はい、じゃあまた頑張って」
「くっそー。大変だな、ケーキ作んのは」
「これなんか一番簡単なやつだよ? …で? どうしたわけ?」
「ああ、で、バレンタイン当日は征士がチョコ買ってきたんだ。あと、花束?」
「花束!?」
「ああ」
「まさか…真っ赤なバラとか?」
「…ああ」
「うっわー。ははは。もしかして、歳の数とか?」
「いや、歳の数の倍くらいあったんじゃないかな。一抱えは余裕であったから」
「あははははははは!」
「………」
「似合いすぎー。おっかしーい。はははは」
「そんなに笑うなよ。もういいか、残り入れて」
「ああ、そうだね。ごめんごめん」
「この家にそんなにバラ飾ってどうしろって言うんだよ。なあ」
「まあ、あげたかったんだろ、当麻に」
「まあね。…こんなもん?」
「ボウルごと逆さまにしてみて? 落ちてこないくらいなら大丈夫」
「よ。…大丈夫みたいだな」
「じゃあ次は、こっちのボウルに玉子の黄身とホイップクリーム入れて、混ぜる。…で、どうしたわけ? そのバラは」
「もったいないからさぁ。ちょっと残しておおかた職場に持ってったけど」
「なんて言って?」
「いや、もらったからって。できた」
「で、さっきのこのチョコを混ぜる、と」
「おー」
「よく混ぜてね。誰にもらったとか、聞かれないの? バラ」
「誰にかってのはな、まあだいたい察してくれんだろ」
「そうか。話したって言ってたもんね。忘年会でだっけ?」
「ああ」
「女性陣には、まあちょっとからかわれたけどな。からかわれたというか、羨ましがられたというか」
「はは…。粉、入れるよ」
「おう」
「ここからはゴムベラで。さっくり混ぜて。……ああっ、そんなにグリグリ混ぜないで」
「こうか?」
「ん。そんなもん。で、ここに頑張って泡立てたメレンゲを入れます」
「おー」
「さっくりとね。泡を消さないように」
「んー」
「そうそう。うまい、うまい」
「美味そうだな。舐めたい」
「お腹痛くなるよ。で、油を塗ったお釜に入れて…」
「ほい……と」
「こうやって何回か打ちつけて空気を抜いて…」
「で、普通に炊けばいいのか」
「そ。簡単だろ? オーブンいらないし」
「だな」
「喜ぶんだろうなぁ、征士。顔が目に浮かぶよ。これ、かなり甘さ控えめだから、征士でも食べられるだろうし」
「帰ってくるまでいたらいいのに。晩飯食ってけよ」
「そんな野暮じゃないよ。焼き上がりを見たら早々に退散させていただきます」
「喜ぶと思うけどなぁ。伸に会いたがってたぞ?」
「一番喜ぶのは、僕よりこのケーキより、もう一回チョコホイップなんじゃないの?」
「…なんだよ、それ」
「特盛りのバラの花束と引き合うくらいの、美味しいチョコホイップだったみたいだから?」
「………」
「相変わらず仲のよろしいようで、何よりです」
「…嫌なやつだなー、相変わらず」
「あれ? こんな面白いネタ、一人で楽しんでるのもったいないなぁ。秀にも話してやろうかなー」
「いや、ごめんなさい。ありがとうございます。神様、伸様、仏様。感謝してる!」
「だっろー?」
「ちぇ」
「晩ご飯はどうするの?」
「うーん、それもこれから考える」
「じゃあ、帰りながら買い物付き合うよ」
「おー、助かる。ありがとな」
「どういたしまして」
おわり
**********
オチない話ですみません。
伸兄さんは何でもお見通し☆
タイトルはそのまんまです。
もう考える気がまったくない(笑)
タイトルはそのまんまです。
もう考える気がまったくない(笑)
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