たいいくのひ
since November 22th 2012
【022-01】洞窟 前
【R18】
青と触手。
触手系バッチコーイの方だけどうぞ。
閲覧注意です。
青と触手。
触手系バッチコーイの方だけどうぞ。
閲覧注意です。
暗くじめじめとした鍾乳洞の奥底。
絶えず水の滴り落ちる音が聞こえる。
それに重なる、犬が水を舐めとるようなペチャペチャという別の水音。
ギュ、ギュギュ…というゴム風船をこすり合わせるような摩擦音。
そして…人の呻き声。
美しく澄んだ地底の湖の上に、それは白くぼうっと浮かび上がっている。
青い髪の少年。
彼の身体は暗い緑色の何かに絡め取られ、湖の上高くに宙づりにされていた。
少年に絡むそれは細かく節がついていて、クネクネと自在に動く様はミミズのような、粘液に覆われた張りのない肉の感じはナメクジのような、ともかくおぞましいもの。
天井から生えているらしい植物のような、動物のような、得体の知れない触手のような生物。
透明の粘りのある液体が、そこから何本も糸を引いて湖面へ落ちる。
同じ滴りが少年の髪を、顔を濡らし、首もとから色白な身体を伝う。
「はな…せ…っ」
少年の青い瞳は、疲労の色を隠せずにいる。
囚われてからもうどのくらい経つのだろうか。
振り払おうとしても宙に浮いている身では力の込めようもなく、叫ぼうが喚こうが意思の通じる相手ではなさそうだった。
この滴る粘液に何かしらの神経作用があるらしい。
疲労だけでなく、それが段々と少年の思考を鈍らせていった。
*
*
*
確かにその中から征士が呼んでいる気がした。
誰も近づくことのなさそうな山陰にひっそりとある鍾乳洞の入口。
散り散りになってしまった仲間たちを探していた当麻は、ひとり中へと入っていった。
妖邪の気配はしない。
征士は追われて、ここへ逃げ込んだのだろうか。
入口は立って入ることができたが、光の届かなくなった辺りから急に狭くなる。
細身な当麻だからやっとくぐれるような、真っ暗で狭いトンネルを這って進む。
壁はつるつると滑らかなのだが、所々に水晶のような尖った結晶が出ていて油断できない。
とにかく狭い。
征士はどうしてこんなに奥まで入ったのだろうか。
気配はどんどん強くなってくる。
早く征士の顔が見たい。
心細さと、恋しい気持ちと。
その両方を必死に打ち消しながら先へと進む。
心細くなんかない。
まもなく合流できるのだ。
恋しくなんかない。
今探しているのは共に戦う仲間だと、自分を叱咤激励する。
鍾乳洞の中は一般的に外より気温が低いものだが、この洞の奥からは生温かい風が上がってくる。
「征士…」
手探りで奥へ奥へと進むに連れて、当麻の思考は征士への恋情で埋められていく。
どんなに考えまいとしても、いつの間にか周りの様子や他の三人のことは完全に頭を去り、ただひたすら征士だけに会いたいと願って這い進んでいた。
早く、一刻も早く。
急に視界が開けて、仄かに明るい広間へ出る。
そこにあるのは澄んだ水をたたえた地底湖。
征士は無事でいるのか。
当麻は大声で征士の名を呼んだ。
「うわあぁっ」
その途端、頭上から勢いよく伸びてきた何かが当麻の手足に絡まる。
瞬時に絡め取られ、当麻はあっという間に宙へと運ばれる。
なにひとつ抵抗もできずに。
アンダーギアを装着しているのだ。
このくらいの攻撃なら軽く飛び退くだけでかわせるはずなのに。
やんわりと麻酔をかけられたように全身が痺れていることに、当麻は初めて気づいた。
征士の気配は、いつの間にか消えている。
湖面の遥か上で、当麻の身体は止まった。
上から垂れ落ちてくる生暖かいトロンとした液体で頭から濡らされていく。
「やめろ! 放せ!」
空間に声は大きく響くが、この化け物に響いている様子はない。
妖邪の気配ではない。
自分を拘束する気味の悪いこの化け物は何なのか。
薄く霞をかけられてしまったようなやや不鮮明な意識で、当麻は懸命に分析する。
拘束を解こうと暴れてみるが、痺れた身体の動きは鈍く、更に宙に浮かされていては力の込めようがなかった。
腕に巻きつく触手の先が、耳元でピチャピチャと不快な音をたてる。
身体を拘束しているのとは別の触手がゆっくりと降りてきて、その先端が当麻の目の前で弾ける。
生臭い飛沫が当麻の顔にかかる。
裂けたところからダラダラと透明な粘液が垂れ、さらにおびただしい数の赤黒い細い触手があらわれる。
おぞましい光景に、当麻は顔をしかめた。
身体の自由はいまいち効かないが、五感は正常に生きているらしい。
この状態でそれが吉と出るのか凶と出るのか。
当麻は上を見上げた。
ぼんやりと光る天井から、この触手は根元を一にして生えているようだ。
植物なのか、動物なのか。
何のために当麻を捉えたのか。
逃れるためには敵を知らなくてはならない。
できる限りの情報を集めたい。
その間にも無数の細い触手は、当麻のアンダーギアの首もとから侵入する。
鎖骨を撫で、肌を這い回る感覚に当麻は総毛立つ。
そのうちの幾束かは、敏感な部分をこすり立てながらアンダーギアと素肌の隙間を進んでいく。
「やめろ…気持ち悪い!」
腹の部分より先には進めないらしく、滞った細い触手は当麻の胸の上を這い回り、脇をくすぐり、背中へと回る。
「う…ぁ…っ」
次第に身体が熱くなり、くすぐったさよりも官能が勝ってくる。
今まで考えたこともなかった上半身への愛撫に性的な快感を得つつある自分に戸惑う。
触感がいつもより鋭敏になっている気がする。
「なんだ…これ、ぁあ…っ」
たまらずに声が漏れる。
幾束かがまたするりと当麻の胸の尖りをこすり上げた瞬間、当麻の身体が弓なりに仰け反り、何かがぱちんと音をたてて破綻し、アンダーギアが解けた。
身体を覆ってくれていたものが消え去り、ただ何もまとわない身体だけが触手に巻かれて宙に取り残される。
当麻は自分の下方を見る。
むき出しになった二本の脚の遥か下には、青く澄んだ水をたたえた湖面が、落ちていく粘液でわずかに波打っている。
湖はそう深くはないらしく、沈んでいるたくさんの白い何かがが目に入った。
薄暗い中で目を凝らすと、それは無数の動物の骨。
人骨もかなりの割合で混ざっている。
「マジかよ…」
一番上の人骨には黒い髪が残って見えた。
それが一番新しいものらしい。
そこに征士の姿が見えないということは、征士はここでこれにやられてしまったわけではないということだろう。
当麻は一瞬の安堵を得る。
しかし自分に死の危険が迫っていることも同時に知る。
アンダーギアで守られていた腹より下に触手が這い出す。
これまでの上半身への刺激だけで十分に硬くなっていたものにまとわりつく。
「く…っ」
自分はおびきよせられたのだ。
この得体のしれない化け物に。
一体なんのために?
足元に溜まる骨から考えれば、おそらく自分はこの化け物の餌なのだろう。
細い無数のヌルヌルとしたものが、当麻のペニスを包み込んで刺激する。
「ちくしょ…ぅう…」
だとしたら…これは一体なんのためだ?
なんのためにこんなことを。
自分で慰めることはあっても、まだ他人の愛撫を受けたことのないその部分は、未知の刺激にすぐに達しそうになってしまう。
身体を屈めたいと思うが、手足に巻きついた太い触手がそうさせまいと逆に作用する。
「く…そっ…ぅあ…」
まさに達しようとするその瞬間、当麻は歯を食いしばって目が自然とつぶろうとするのを我慢し、まだ少し自由になる首を屈めて射精する自分自身を見た。
「く…ああっ」
確かに放出したはずなのに、そこから滴るのは相変わらず触手から出されるどろりとした透明な粘液だけだ。
飛び出して下へと落ちていくだろうと思われた精液は、一滴残らず触手に吸収されたようだった。
荒い息を吐きながら当麻は思考を続ける。
目的は肉ではなく、体液か。
「…っく…ふぅっ」
口を固く結んでも、声がこぼれてしまう。
一度の放出で触手の動きが止むことはなく、尚も活発に刺激を続けている。
絞れるだけ絞り取って、終わればうち捨てるってことか…。
一番最近の獲物が既に白骨化しているところを見ると、これは食虫植物のようなもので、メインの栄養は根から取り、補助的に動物を捉えているのではないだろうか。
「くそっ…オヤツかよ」
気絶しないレベルまで思考力を落として体液を吐き出させ続けるつもりなのだとしたら、考え続けることで意識を保っていくしかない。
「うぅ……っああ」
当麻は二度目の精を放った。
後編につづく
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