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【012】役割

緑青です。
短くて、ただいちゃいちゃしてるだけー。

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「当麻、脱いだ服は洗濯機に入れろと何度言えばわかる」
「はいはーい!」
「はい、は一回だ、当麻」
「はい、はい! わかってる。わかってるよ!」
「わかっているなら、やることだ。まったく世話の焼ける…」
「……まったくはこっちのセリフだよ」
「何がだ?」
「まったく、征士がこんなに口うるさく人の世話を焼くヤツだとは思わなかったよなぁ」
「うるさくて悪かったな。世話が焼ける男と一緒になってしまったのだから仕方あるまい」
「あいつらと暮らしてたときは、伸が一手にみんなの世話焼き係だったけどなぁ。口うるさかったよなぁ、伸も」
「まぁな。しかし手のかかる子どもが三人もいたのだ。伸だって好きでやっていたわけではないだろう」
「どうだかね。で、三人ってなんだよ」
「お前と秀と遼だろう」
「お前は?」
「私は伸に世話を焼かせた覚えはない」
「えー!? そうかなぁ」
「そうだろう?」
「そうでもないと思うけどな…」
「それを言えば私だって、当麻がこんなにおしゃべりで、私を笑わせてくれるとは思わなかったぞ」
「え? 俺?」
「ああ」
「そうか?」
「時には秀と遼が両方いるかと思うくらい、賑やかで楽しいな」
「そんなにしゃべってるかなぁ」
「しゃべっているだろう。そしてたいていの話にきちんとオチがついている。さすがは大阪出身だと、いつも感心している」
「へー、そうかねー。それを言ったら征士だって、あの頃よりずいぶんとよくしゃべるぞ」
「そうかもしれん。不思議だな」
「そうだな」
「あの頃だって二人の部屋で、今と状況はそんなに変わらないのにな」
「そう言われてみれば、黙ってたよなぁ二人とも。みんながいるところでは少しはしゃべってたけど」
「確かにな。部屋ではあまり口を聞かなかったな」
「お互いな」
「でもまぁ、あれで良かったんだろう」
「なんで?」
「二人きりであまりしゃべっては危なかったからかもしれないからな」
「何が?」
「お前への気持ちが言葉に出てしまってはな、まずいだろう、あの頃は」
「…そう…かな?」
「お前だって、私のことが気になっていたのだろう?」
「ん? あ、うん、まぁな」
「思いが通じていると思ったら、我慢できるものではないぞ」
「何がだよ」
「ま、色々とな」
「はは。でもまぁ、そう…かもな。俺たちは黙って、お互いを思い合ってたってことだな」
「今思えば、おもしろいな」
「今は俺たち二人になって……」
「ん?」
「うん。俺たち二人で、あのとき五人でやってた役割をシェアしているんだな」
「かもしれんな」
「家族、なんだなー」
「家族、か。嬉しいことを言ってくれるな」
「そう?」
「ああ。お前と家族になれて良かった」
「俺も」
「お前が自分の気持ちをそうやって、私に素直に話してくれるのも嬉しい」
「お前こそな。…うーん。幸せだなー、俺たち」
「そうだな。………しかし、それとこれとは話が別だ。洗濯物は洗濯機。さっさと持って行け」
「はい、はい」
「はい、は一回!」
「はい、はい、はーい!」
おわり
**********
【あとがき】
いちゃいちゃしてるだけ。
うちの基本です!
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